新国立劇場 《西部の娘》
2007年4月15日(日)2:00PM

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 僕はアンドレアス・ホモキの演出が苦手で、06年5月6日にバイエルン国立歌劇場で見たフンパーディンク《王子と王女》にもゲッソリしたものです。

 しかし、《西部の娘》という演目は上演の機会が少なく、考えてみれば一度も実演を見たことがない。
 プッチーニ全曲制覇のためと演出には目をつむる覚悟で出かけました。

   2007年4月15日(日)2:00PM
      プッチーニ《西部の娘》
    指揮:ウルフ・シルマー
    演出:アンドレアス・ホモキ

   ミニー:ステファニー・フリーデ
   ジャック・ランス:ルチオ・ガッロ
 ディック・ジョンソン:アティッラ・B.キッシュ

  合 唱:新国立劇場合唱団
  管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

『ストーリー』
 1849年から1850年にかけての冬、ゴールドラッシュで沸くカリフォルニア。
 酒場『ポルカ』の女主人ミニーは、荒くれ男達を相手にしているが、恋をしたこともない純潔な娘。
 保安官ランスも彼女を口説くが相手にされない。
 そのミニーが流れ者のジョンソンと突然恋に落ちるが、ジョンソンは盗賊団の首領ラメレスだった!

 ヴェルディ並みにおかしなストーリーですね (^_^; 。

 プログラムによれば、ホモキは「様々な文化圏から異なる人種が集う街」東京で《西部の娘》を上演する点を重要視し、舞台を現代の産業の中心地に移している、とのこと。
 僕としては、作曲家がこのオペラで表現したかったことを重要視してほしいんですけれどね。

 幕が開くと、段ボールがいっぱい積まれていて、ショッピングカートを押す世界各国の人々。
 ここは空港のロビーでしょうか。

 ミニーがお掃除おばさんのユニフォームで現れたときには、心底がっかりしましたよ (^_^ゞ。
 しかし、よくよく見ていると、ホモキは「読み替え一派」とは異なり、ストーリーはプッチーニの意図通り進んでいく。

 がぜん面白くなったのは、休憩後の第二幕、ジョンソンがミニーの家を訪れる場面から。
 何と言っても、主役の3人が素晴らしい。
 世界各地からこれだけのキャストを集めてくるのは、ノヴォラツスキー芸術監督の手腕でしょうか。

 この第二幕は《トスカ》の第二幕の焼き直しのようでしたが、それでも緊迫感のある場面の連続で、舞台に引き込まれました。

 指揮のウルフ・シルマーは2000年5月6日にヘッセン州立劇場(ヴィースバーデン)で見た《さまよえるオランダ人》が素晴らしかった。
 本日の演奏はプッチーニにしては少しドラマティックすぎるか、とも思いましたが、この激しさがこのオペラにはふさわしいのでしょう。

 諦めていたホモキの演出も合わせ、全てに満足できる公演でした。
 ホモキ演出では、2008年2月2日&3日のびわ湖ホール 《ばらの騎士》も楽しみになってきました。

 
 
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