愛知県文化振興事業団 《ファルスタッフ》
2008年9月21日(日)2:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

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  僕はヴェルディは苦手なんですが、《ファルスタッフ》には痛烈な思い出があります。
 それは1997年4月14日にケルン歌劇場で見た、ジェームズ・コンロン指揮、ロバート・カーセン演出の舞台。
 コンロンの指揮でオペラハウス全体が生き物のようにうねり、カーセンの演出で観客は大笑いと大喝采。
 我が生涯、最高のオペラ体験の一つです。
 第三幕の森の場面で、ファルスタッフ(ギュンター・フォン・カンネン)がおずおずと舞台に出てくると、それだけで会場が大爆笑したものでした。

 2007年6月13日に新国立劇場で見たダン・エッティンガー指揮、ジョナサン・ミラー演出の《ファルスタッフ》もなかなかの舞台でした。


   愛知県文化振興事業団《ファルスタッフ》
     2008年9月21日(日)2:00PM
       愛知県芸術劇場大ホール

   指揮:山下 一史  演出:岩田 達宗

   ファルスタッフ:折江 忠道
       フォード:堀内 康雄
      フェントン:大澤 一彰
      カイウス:大野 光彦
   バルドルフォ:前田 進一郎
     ピストーラ:柴山 昌宣
     アリーチェ:尾崎 比佐子
     ナンネッタ:佐藤 美枝子
    クイックリー:荒田 祐子
        メグ:井上 美和

   合唱:AC合唱団
   管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

 愛知県文化振興事業団も《ファルスタッフ》とは渋い演目を選んだもので、その英断には敬意を表したいと思います。
 でも、僕の4階はガラガラでした。
 見下ろした1階は満席状態だったでしょうか。

 全体としての印象は、あまり面白くありませんでした。
 山下さんの指揮はてきぱきとしているし、岩田さんの演出もどこが悪いとは指摘できませんが、僕にとって面白くなかったことは確かです。
 普通すぎるんでしょうか?

 舞台を見ていて、やはり《ファルスタッフ》という作品自体に魅力がないような気がしました。
 特に有名なアリアがあるわけでもありませんからね。
 それでは、どうして僕はケルン歌劇場であれほど感激したのでしょう?

 キャストではファルスタッフの折江さんとフォードの堀内さんが図抜けていたと思います。
 クイックリー夫人の荒田さんは先日の堺シティオペラでアズチェーナを歌っていた、ボリュームと深みのある声のメゾソプラノです。
 僕はアリーチェとメグの区別が付かないんですが、今回女性は同じ服を着ていたので、よけい分からなくなりました。

 会場からは盛大な拍手と「ブラヴォー!」が飛んでいましたので、よい公演だったのかもしれません。
 来年の公演は7月25日(土)26日(日)に、佐渡 裕さん指揮の《カルメン》が予告されていました。
 
 
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