ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル 《オテッロ》
2008年11月16日(日)2:00PM びわ湖ホール大ホール

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 ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル(ROF)はロッシーニの生地であるペーザロで1980年以来8月に行われている音楽祭。
 ロッシーニの忘れられた作品の蘇演に尽くしており、国際的に高い評価を得ています。
 今回はオペラ・セリアの《マホメット2世》《オテッロ》という日本初演の2作を携えての初来日です。

 開演前のロビーで情報収集したところでは、昨日上演されたアルベルト・ゼッダ指揮の《マホメット2世》の評価が大変高く、公務で見ることが出来なかった僕としては悔しいやら恨めしいやら。


  ロッシーニ作曲 オペラ・セリア 《オテッロ》
    2008年11月16日(日)2:00PM
       びわ湖ホール大ホール

   指揮:グスタフ・クーン
   演出:ジャンカルロ・デル・モナコ

   オテッロ:グレゴリー・クンデ
   デズデーモナ:イアノ・タマール
   エルミーロ:ミルコ・パラッツィ
   ロドリーゴ:ブルース・スレッジ
   イアーゴ:フェルディナント・フォン・ボトマー
   エミーリア:マリア・ゴルツェフスカヤ

 管弦楽:ボルツァーノ・トレント・ハイドン・オーケストラ
 合唱:プラハ室内合唱団

第1部(第1幕)75分~休憩25分
             ~第2部(第2幕/第3幕)95分

 ロッシーニ(1792~1868年)のオペラ・セリアとしては7作目の作品。
 初演は1816年12月4日にナポリのフォンド劇場。
 題材はシェークスピアの『オセロ』(1604年)ですが、ヴェルディの《オテロ》(1887年)とはストーリーが大分違います。

 ヴェネツィア貴族の娘デズデーモナは愛するアフリカ人の隊長オテッロに裏切りを疑われ、愛していない総督の息子ロドリーゴには言い寄られ、父親のエルミーロにはロドリーゴとの結婚を強要され、部下のイアーゴにも恨みを買っているようで、最初から最後まで苦悩のどん底。

 挙げ句の果てに、追放先から夜中にわざわざやって来て、寝室に忍び込んだオテッロに刺し殺されてしまうんですから、気の毒という言葉を超越しています。
 あまりにもわざとらしくて、(僕の場合)同情心は少なかったです。

 このような事件の新聞記事を読んでも思うんですが、オテッロもどうせ自殺するのならデズデーモナを道連れにせず、一人で自殺すればいいのにね (^_^; 。

 ロッシーニの音楽はレシタティーヴォが多いかとも思いましたが、魅力的な部分も多かった。
 オテッロによる理不尽な殺害シーンで最後は盛り上がり、盛大な拍手とブラヴォーが飛んでいました。
 
 キャストはいずれも高いレベルを保っていたと思います。
 主役の二人は後半の方が声が良く出ていたようです。
 オテッロ役はドラマティックでありながらアジリタの細かい動きも要求される難かしい役かと思いました。

 グスタフ・クーンの指揮は 《ランスへの旅》《どろぼうかささぎ》 で聞いたアルベルト・ゼッダの魅力には及ばないもので、時々アンサンブルがおかしかったようにも聞こえました。
 オーケストラの管楽器にはアクロバティックな技術を要求されるパートもあり、大変なことと同情しました。

 ジャン・カルロ・デル・モナコの演出を見るのは初めてかと思います。
 舞台はヴェネツィアの海をイメージした青い壁で囲まれ、扉から人々が出入りしました。

 不快な「読み替え」は無かったので安心しましたし、真実に迫った演技の面で不満はありませんが、青い壁と扉だけではどうしても単調な印象になってしまうでしょうか。

 ヴェルディの《オテロ》を得意とした父親のマリオ・デル・モナコはこの舞台を喜ばないのではないか?と思いながら見ていました (^_^ゞ。

 コーラスは出番になると壁からせり出してきて、無駄なところにお金をかけているようです。

 この衣装がトンネルズの「もじもじくん」みたいで、すごくおかしい。
 また声量的にも、びわ湖ホールで馴染みの東京オペラシンガーズには及ばないものでした。
 
 
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