東京二期会 リヒャルト・シュトラウス 《カプリッチョ》
 2009年11月23日(月・祝)2:00PM 日生劇場

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 あれは1990年11月17日、僕はミュンヘンのキュヴィリエ劇場でリヒャルト・シュトラウスのオペラを見ました。
 この日のバイエルン国立歌劇場はバレエ公演の予定だったので、仕方なく聞いたこともない劇場で名前を聞いたこともないオペラを見たわけです。

 ドイツ語で内容はまったく不明でしたが、終わったかな?と思ったら召使い達の長いアンサンブルがあって、終わったかな?と思ったらまたヒロインが出てきて、長いモノローグを歌うという、往生際の悪いオペラでした (^_^; 。

 あのオペラが《カプリッチョ》だったのではないかと、本日は確認に出かけたのですが、はたして《カプリッチョ》だったんですね (^_^) 。

 本日のプログラム(岩下眞好さん)によれば、キュヴィリエ劇場の舞台は初演の演出をしたルドルフ・ハルトマンという人の演出だったらしい。

 残念ながら、指揮者もキャストも忘れてしまいました。
 当時はそういうことに興味がなかったんですね。
 今から考えれば、ロココ調の美しい劇場で、何と素晴らしい観劇をすることが出来たのだろうと、自らの幸運に感謝するばかりです。


     東京二期会オペラ劇場
  音楽のための会話劇1幕(2場構成)
 リヒャルト・シュトラウス作曲《カプリッチョ》
 2009年11月23日(月・祝)2:00PM 日生劇場

    指 揮:沼尻竜典
    演出・装置:ジョエル・ローウェルス

    伯爵令嬢マドレーヌ : 釜洞祐子
    伯爵、マドレーヌの兄 : 成田博之
    作曲家フラマン : 児玉和弘
    詩人オリヴィエ : 友清 崇
    劇場支配人ラ・ロシュ : 山下浩司
    女優クレロン : 谷口睦美
    ムッシュ・トープ(プロンプター) : 森田有生
    イタリア人ソプラノ歌手 : 高橋知子
    イタリア人テノール歌手 : 村上公太
    執事長 : 小川田哲也
 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 プログラムを読んで、ローウェルスが08年2月24日《ワルキューレ》の演出家だと知って、演出については見る前から諦めました。
 しかし、少なくとも前半については予想以上に良い出来かと思いました。
 多くの登場人物を手際よく動かし、隅々まで(小さなバレリーナまで)目が行き届いている。

 後半に召使い達をナチスにしてしまったのはお約束でしょうか。
 こういう演出をしないと、東京二期会にも呼んでもらえないのでしょう。

 しかし、最後に若き美貌の令嬢マドレーヌを杖を突いたお婆さんにしてしまったのは、許せませんでした。
 モノローグ(このオペラの締めくくり)の意味がまったく違ってきますからね。
 僕がヒロインなら、一生に一度であろうチャンスに、お婆さんの格好で若い女性のために書かれた曲を歌うのはイヤだな。
 もちろん歌詞はまったく不明だけれど (^_^; 、歌詞が分かればもっと違和感が沸いてきそうなフィナーレでした。
 
 キャストは総じて好演かと思いました。
 日本のオペラ公演のレベルは高い。

 いくぶん男性優位だったでしょうか。
 中でも劇場支配人のアリアはすごいと驚きました。
 釜洞祐子さんは、その美貌が役に合っているかと思いました。

 指揮者の沼尻竜典さんには、シュトラウスサウンドを堪能させていただきました。
 名フィルの《ばらの騎士》も素晴らしかったし、沼尻さんにリヒャルト・シュトラウスは合うと思います。
 
 
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