ティエリー・フィッシャー&名フィル 『第九』演奏会
2009年12月19日(土)4:00PM 名古屋市民会館大ホール

「REVIEW09」に戻る  ホームページへ  大隅智佳子観劇記録
 
 
 ティエリー・フィッシャーと名フィルによるベートーヴェン・ツィクルスも最後の『第九』となりました。
 大ファンである大隅智佳子さんの名古屋デビュー(?)も楽しみです。

 名古屋フィルハーモニー交響楽団『第九』演奏会
   2009年 12月19日(土)4:00PM
     名古屋市民会館大ホール

     指揮:ティエリー・フィッシャー
     ソプラノ:大隅智佳子
     アルト :小川明子
     テノール:望月哲也
     バリトン:与那城 敬

     合唱:愛知県合唱連盟

 フィッシャーの指揮は期待どおり、メリハリが効いた推進力のあるものでした。

 僕は応募抽選に当選して、12月16日(水)にフィッシャーのリハーサルを見学することが出来ました。
 フィッシャーはスイス人ですが、練習では9割は英語、1割はドイツ語が使われていました。

 フィッシャーの指示は強弱やテンポについての実務的なもので、練習はテキパキと進められました。
 第1楽章で、ちょうど1時間。
 彼の指示で音楽がどんどん変わっていくのが面白かったですね。

 ソリストも合唱も最初から入場していましたが、大隅さんは時々ハンカチを口に当てたりして体調不良でしょうか?
 もともとこの曲にはソプラノは重唱だけで、特に聴かせどころもないようですが、大隅さんが歌い始めると僕は理屈ではなく、体感的にビビビ!ときてしまうんですね。

 大隅さんの次のオペラ出演は、1月16日(土)東京オペラプロデュースの《マダム・サン=ジェーヌ》でしょうか。
 この日は残念なことに名古屋の《椿姫》とバッティングしてしまいました。
 ヴェルディは苦手な僕ですが、マリエッラ・デヴィーアのヴィオレッタは聴いておかないとね。

 与那城敬さんは東京二期会で大隅さんのタチアーナと共演したオネーギンですが、低い音に響きがありませんでした。
 この曲にはバスバリトンが合っているのではないでしょうか。

 合唱団は人数が多すぎて、どうしても音が濁ってくるような気がします。

 セントラル愛知交響楽団の『第九』で、第3楽章83小節からのホルンソロに興味を持ってしまった僕は、リハーサルの時に、いつもは第3ホルンを吹いている安土真弓(あんづち まゆみ)さんが第4ホルンの席に座っていることをチェックしておりました。
 彼女は第77回(2008年)日本音楽コンクールに第二位入賞した実力者です。
 このコンクールはNHKで全国に放送されました。

 セントラル愛知交響楽団では第1ホルンの独奏曲になっておりましたが、名フィルでは管楽器の美しいアンサンブルを聴かせてせていただきました。
 ほかのオケではホルンが難しそうに吹いているこの部分ですが、安土さんは楽々と吹いている感じ。
 この部分がこれほど美しい音楽だったとは、初めて教えていただきました。

 安土さんは演奏終了後に第1ホルン、第3ホルンのおじさんから声を掛けられ、嬉しそうに微笑んでおられました。
 会心の演奏だったのでしょう。

 これでティエリー・フィッシャーのベートーヴェン・ツィクルスが終わりました。
 改めてベートーヴェンの交響曲全曲演奏を聴くことが出来て、得がたい機会だったと感謝しております。

 僕にとって最高の演奏は『田園』の第2楽章。
 あれは天国から降ってくるような、特別な音楽でした。
 交響曲第2番が立派な曲だったのにも、改めて気づきました。

 来年度は「ブラームス・ツィクルス」で、交響曲、協奏曲、序曲など、ブラームスの管弦楽作品を4回に分けて演奏する、大変趣味の良いシリーズで、喜んで予約してしまいました。

 フィッシャーの演奏は聞き逃さないようにしないと。
 ユタ交響楽団の音楽監督となってしまったフィッシャーがいつまで名フィルを振ってくれるのか心配ですからね。
 
 
「REVIEW09」に戻る  ホームページへ  大隅智佳子観劇記録