東京二期会 《エフゲニー・オネーギン》 東京文化会館 2008年9月14日(日)2:00PM 15日(月・祝)2:00PM |
東京オペラプロデュース《ルイーズ》で感心して、《妖精》のアーダに驚嘆した大隅智佳子さんの二期会デビューはどうしても見なくてはなりません。 問題は演出が大嫌いなペーター・コンヴィチュニーだということ。 彼の演出はハンブルク国立歌劇場《ヴォツェック》、ドレスデン国立歌劇場《仮面舞踏会》と見て、この人はもう二度と見なくてもいい、と思っていました。 しかし、どうしても大隅智佳子さんの二期会デビューは見なくてはなりません。 東京二期会 《エフゲニー・オネーギン》 東京文化会館 2008年9月14日(日)2:00PM 15日(月・祝)2:00PM ![]() 指揮:アレクサンドル・アシニモフ 演出:ペーター・コンヴィチュニー 14日 15日 ラーリナ: 与田 朝子 日野 妙果 タチアーナ:津山 恵 大隅智佳子 オルガ: 田村由貴絵 橘 今日子 フィリピエーヴナ:村松 桂子 加納 里美 オネーギン:黒田 博 与那城 敬 レンスキー:樋口達哉 大槻孝志 グレーミン公爵:佐藤泰弘 斉木健詞 管弦楽:東京交響楽団 合唱:二期会合唱団 舞台装置・衣裳:スロヴァキア国立ブラチスラヴァ歌劇場 大隅さんのタチアーナは、歌唱に演技に期待どおりの素晴らしさでした。 プロフィールによれば、東京芸術大学首席卒業、同大学院博士課程修了なんだそうで、歌唱力、演技力、学歴、人脈、すべてを揃えたサラブレッドのような人です。 近い将来に、日本オペラ界のリーダーとなる人でしょう。 オネーギンの与那城さんは初めて聴く人かと思いますが、予想以上の素晴らしさ。 オネーギン役としては少し若いかと思いましたが、プログラムによればオネーギンは26歳なんだそうで、まあ納得。 グレーミン公爵の斉木健詞さんは低い音まで良く響くバスで、こんなすごいバスが日本にいたのかと驚きました。 アレクサンドル・アシニモフの指揮は素晴らしかった。 また、迫力あるコーラスも良かった。 コンヴィチュニーの演出は予想どおり意味不明の場所も多かったのですが、こちらも免疫が出来てしまったのか (^_^ゞ、まあ許容範囲。 でも、「もう二度と見なくていい」、という気持ちに変わりはありません。 プログラムに東条碩夫さんが書かれているところでは、「最近の演出では『ポロネーズ』が舞踏会の音楽として使われることはほとんど無い」んだそうで、作曲家の意図を演出家が自分の好き勝手にねじ曲げる、おかしな時代になったものです。 昨年見たザルツブルクの舞台も酔っぱらいがフラフラ踊って(?)いました。 このプログラムは1000円と少し高いんですが、実に充実した内容で、一読をお薦めしたいものです。 終演時にも余っているようでしたよ。 最後のオネーギンがタチアーナに愛を求める場面は濃厚な演出でした。 昨年のザルツブルクでは黒い下着のタチアーナを見ているし、コンヴィチュニーは《ヴォツェック》でアンジェラ・デノケを裸にしているし、今回もオネーギンがいつタチアーナのドレスを脱がせるのか、その瞬間を見逃さないように集中していたのですが、空振りでした (^_^ゞ。 この手の路線なら、次はスカルピアがトスカを押し倒し、服を脱がせながら肉体関係を迫る演出が出てくるのではないでしょうか? カーテンコールの最後にGパン姿のコンヴィチュニーが現れまして、最終日までいてくれるとはいい人ではありませんか (^_^) 。 予習のために14日の舞台も見ました。 タチアーナの津山 恵さんとレンスキー樋口達哉さんが良かったですね。 前半だけ見て《ミス・サイゴン》に移動、、また泣いてきました (^_^; 。 オペラは数日の公演で終わってしまうのに、どうしてミュージカルは何ヶ月、何年にわたって観客を集めることが出来るのでしょう。 |