オスモ・ヴァンスカ 読売日本交響楽団『第九』演奏会
 2009年12月26日(土)6:00PM 東京芸術劇場大ホール

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 東フィル『第九』が5時で終わったので、付け足しで読売日本交響楽団の『第九』を梯子しました。
 僕はここ十数年『第九』を聴いたことはなかったのに、今年は4つの演奏を聴き比べることになってしまいました (^_^) 。

    読売日本交響楽団『第九』演奏会
    2009年12月26日(土)6:00PM
      東京芸術劇場大ホール

    指 揮:オスモ・ヴァンスカ
    ソプラノ:林 正子
    アルト :林 美智子
    テノール:中鉢 聡
    バリトン:宮本益光
    合 唱:新国立劇場合唱団

 読響の指揮者はオスモ・ヴァンスカというフィンランド人でしたが、名フィルのティエリー・フィッシャーに似たタイプの素晴らしい指揮者でした。

 第一楽章冒頭のピアニシモからクレッシェンドを経て17小節のフォルティッシモまで、そのダイナミックな音楽の幅に感心し、「これは素晴らしい『第九』が聴ける」と僕は確信しました。

 同じように振っているのに、なぜ東フィルのオンドレイ・レナルトはこれが出来ないんだろうと、僕は音楽の不思議、指揮者の不思議について考えてしまいました。

 バリトンの宮本さんは少し線が細いものの、最後の最低音(A)をはっきり聴かせていただき、今までのストレスが発散されました。
 テノールの中鉢さんを聴きながら、「やはり東フィルの笛田さんの声量は抜群だったんだなあ」と再認識しました。
 ソプラノの林 正子さんも良かった。
 この曲では、あまりアルトが聞こえてきませんね。
 アンサンブルとしては、他の3回に較べ、今回のメンバーが一番良かったのではないでしょうか。

 新国立合唱団はバランスの取れた、良いコーラスかと思いました。
 カーテンコールには合唱指揮の三澤洋史さんが登場されました。

 ヴァンスカは何回目かのカーテンコールに一人で現れ、まず1番ホルンを立たせました。
 それくらいホルンが大変な曲なんだと再確認。

 第3楽章83小節からのホルンソロですが、この部分をベートーヴェンはどうして第4ホルンに吹くよう指示したのでしょう?
 最初は第4ホルンをビックリさせる、茶目っ気のある冗談かとも考えたのですが、この部分は木管のアンサンブルです。
 ベートーベンの時代は第4ホルンが他の木管楽器に一番近かったのでしょうか?

 今回4人のホルン奏者を聴き比べることが出来たのですが、名フィルの安土真弓さんが抜群でした。
 他の方々は一生懸命吹いているのですが、安土さんの演奏を聴いているとこの部分がホルンの難所だということに気が付かないくらい。
 ひたすら美しい木管アンサンブルを聴かせていただきました。

 さて、僕はティエリー・フィッシャーが振ってくれる間は、彼の指揮を聴き逃すことがないように、名フィルに通おうと思っています。
 もし東京に住んでいたら、オスモ・ヴァンスカの指揮を聴き逃すこともないでしょう。

 一年の最後に素晴らしい指揮者、素晴らしい『第九』に巡り会うことが出来て幸せでした。
 
 
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