指揮:栁澤寿男  《ナブッコ》演奏会形式
2010年3月28日(日)3:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

「REVIEW10」に戻る  ホームページへ  《ナブッコ》観劇記録
  
 
 僕は《ナブッコ》をスカラ座とかブレゲンツ音楽祭とか、まあ珍しいところで見ています。
 1998年7月5日(日)には、愛知県芸術劇場大ホールで新国立劇場のプロダクションを見ています。

 ヴェルディのオペラはどれもストーリーが荒唐無稽なんですが、この《ナブッコ》ほど訳が分からないオペラも少ないでしょう (^_^ゞ。

 どうしてこの時期に、演奏会形式で《ナブッコ》を上演するのか意図不明な企画でしたが、地元なので行ってきました。
 渋い演目なのに大勢(9割?)のお客さんが入っていて、不思議でした。

      愛知県文化振興事業団
    ヴェルディ作曲 《ナブッコ》演奏会形式
     2010年3月28日(日)3:00PM
     愛知県芸術劇場コンサートホール

     指揮:栁澤寿男(やなぎさわとしお)

     ナブッコ:直野 資
     アビガイッレ:大岩千穂
     イズマエーレ:村上敏明
     ザッカーリア:若林 勉
     フェネーナ:谷口睦美
     ベルの大司教:デニス・ビシュニャ
     アブダッロ:永井秀司
     アンナ:和泉万里子

     合唱:AC合唱団
    管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

 意図不明な企画と書きましたが、これは素晴らしいコンサートでした。
 その殊勲者は疑いもなく、指揮者の柳澤寿男さんでしょう。
 初めて聴く方で期待していなかったのですが、マケドニア国立歌劇場で活躍していたらしい。
 08年関西二期会《カルメン》、09&10年札幌室内歌劇場 オルフ《月を盗んだ話》など。

 序曲の最初からぐいぐいとオーケストラを引っ張っていく、まったく初期のヴェルディにふさわしいヴィヴィッドな音楽です。
 これだけの演奏をされると、荒唐無稽なストーリーなど、どうでも良くなります (^_^) 。

 ソリストはオケの前に並び、楽譜無し、男性はタキシード、女性はドレス。
 演技はありませんでしたが、せっかくの暗譜なので惜しいと思いました。

 皆さまそれなりのレベルかと思いますが、オーケストラが盛り上がると声が聞こえなくなります。
 最初のザッカーリアが弱かったでしょうか。

 アンナの紫色のドレスが素敵でした (^_^; 。
 僕は以前から「アンナって何者?」と不思議に思っていたので(プログラムの説明に出てこない)、主催者のお姉さんに聞いてみました。
 答えは「フェネーナの侍女」とのことでしたが、帰宅して調べてみるとCDの解説には「ザッカーリアの姉」と書かれているではありませんか (@o@)。
 それならザッカーリアより年上の歌手が演じるべきで若い和泉さんはミスキャストだったと言えるでありましょうか (^_^; 。

 天地がひっくり返るほどビックリしたのが小畑恒夫さんの解説に「アビガイッレはナブッコの妻の一人と奴隷男との間に生まれた不義の子である」と書かれていたこと。
 シノーポリのCDの解説には「アビガイッレはナブッコが奴隷女に生ませた娘」と書かれているし、これが常識でしょう。

 これは小畑さんの革命的新説でしょうか?
 無慈悲な王ナブッコなら、不倫妻と奴隷男と不義の子を並べて、首を刎ねるんじゃないでしょうか?
 不義の子を長女として育てなければいけないような弱みでもあったのでしょうか?
 説得力に乏しいところです。

 有名な合唱『行け、我が想いよ、金色の翼に乗って』はアンコールを求めて一生懸命拍手をしましたが、柳澤さんは無慈悲にも指揮台の譜面をめくってしまいました (^_^; 。

 「それなら最後に、ソリストも一緒にアンコールで歌うのだろう」と期待していたら、それも無かったんですね (^_^; 。

 でも、何度でも聴かせていただきたい柳澤さんの指揮でした。
 翌日もう一度公演があったら、キャストは誰でも絶対に行きましたね。
 
 
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