《トリスタンとイゾルデ》 by 愛知オペラさん 2010年10月16日(土)2:00PM びわ湖ホール大ホール |
沼尻さんが音楽監督になってからのびわ湖ホールは、ドイツ流のおかしな演出家の舞台が続き、あまり行く気がしなくなってきました。 しかも今年は《トリスタンとイゾルデ》という長大なオペラで、「長い時間我慢するよりは」と、十和田湖の紅葉撮影を選んでしまいました。 でも、今年の十和田湖は異常気象で紅葉が遅れ、湖畔は緑が多かった (;o;) 。 で、《トリスタンとイゾルデ》を見に行かれた「愛知オペラさん」にレポートをお願いしました。 僕もびわ湖ホール自体は好きなので、12月の《ヘンゼルとグレーテル》には行ってみたいと思っています。 ![]() 沼尻竜典オペラセレクション 《トリスタンとイゾルデ》 2010年10月16日(土)2:00PM びわ湖ホール大ホール 指揮:沼尻竜典 演出:ミヒャエル・ハイニケ トリスタン:ジョン・チャールズ・ピアース イゾルデ:小山由美 マルケ王:松位 浩 クルヴェナール:石野繁生 ブランゲーネ:加納悦子 管弦楽:大阪センチュリー交響楽団 合 唱:びわ湖ホール声楽アンサンブルほか びわ湖の「トリスタンとイゾルデ」に行って来ました。 前奏の間に幕が開くと、上半分ヴァーンフリート館、下半分ヴェーゼンドンク邸の屋敷が建っています。 ヴァーンフリートをヴェーゼンドンク邸を模して建てたことを表現しているのでしょうか。 人気がない暗い雰囲気で、主はもう奥の墓に入っているという感じです。 前奏曲が終わりに近付くと、建物の前面が二つに割れ左右に消えて行くと、ピアノとソファがあり、奥に赤いカーテンと細長いガラス戸の、ヴァーンフリートの庭に面した部分を直線にした壁があります。 それが、大きな、かぼちゃのような、船のような、人の頭の形のような土台の上にあります。 ワーグナーの頭で、過去を思い出しているということでしょうか。 青いチャイナ・ドレスを着ているイゾルデはマティルデなのでしょう。ガラス戸の向こうにいたトリスタンは、ワーグナーが有名な肖像画で着ているエンジ色の襟の上着を着ていて、まあ、ワーグナーなのでしょう。 派手な服を着た、いかにも浮気されそう王様はオットーさんでしょうか。 一幕はこんな感じです。 二幕の幕が開くと、また、上半分はヴァーンフリート、下半分は、マティルデが待っているのでヴェーゼンドンク邸でしょう。これも、ワーグナーが過去を思い出しているということでしょう。屋敷が今度は上に消えると、ヴィーラント風になりました。 三幕は、本棚の前にピアノとベットがあり、ワーグナーがステテコに腹巻で臥しています。 本棚はヴァーンフリートの書斎の本棚ぽいです。 マティルデと過ごしていた頃、作曲より著述に耽っていたことを表しているのでしょうか? 書斎が下に消えると、またヴィーラント風になり、白いコートの天使風のイゾルデが現れました。 最後は、ワーグナーの遺体と「愛の死」を歌う天使のイゾルデが上へ上へと昇っていきました。 沼尻さん&センチュリーは頑張っていました。 前奏曲が良かったですね。 恣意的な溜めとかは作らず、淡々と流れていく感じです。 金管がいま一つではありましたし、歌唱と合わせていく部分は経験不足を感じました。 小山さんは一幕からかなり飛ばしていて、心配しましたが、最後まで立派に歌いました。 メゾなので高音はやはり少し辛いですが。 他の日本人キャストも声量・表現とも立派な出来でした。 トリスタンのピアースは、リリカルな歌で、いい所もあったのですが、トリスタンを歌う器ではないですね。 二幕・三幕の肝心な所で声が聞こえないという感じでした。それでも最後まで一応歌ってくれましたが。 演出は、ワーグナーがヴァーンフリートでマティルデとの逢瀬を思い出すという設定でしょうが、中途半端な感じがしました。予算の制約もあるのでしょうが。 沼尻さんになってから、びわ湖はドイツ地方歌劇場日本支部になった感じですね。 「愛知オペラさん」のレポートを読んで思ったのは、このオペラ成立の経過から、第一幕、第二幕の舞台をワーグナーとマチルデが逢い引きをしたチューリッヒのヴェーゼンドンク邸に設定するのはありかなと思います。 で、第三幕はワーグナーが死んだ、ヴェネツィアの運河に囲まれたヴェンドラミン館ですね。 で物語を《トリスタンとイゾルデ》ではなく、《ワーグナーとマチルデ》にしてしまうとか。 |