第3回 宗次エンジェルヴァイオリンコンクール前夜祭
シュロモ・ミンツ 『シャコンヌ』
2011年3月14日(月)6:45PM 宗次ホール

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 2007年から始まった「宗次エンジェルヴァイオリンコンクール」は若きヴァイオリニストの登竜門として2年に一度、宗次ホール主催により開催されるコンクールです。
 このコンクールの特徴は、入賞者にヴァイオリンの名器を貸与すること。

 第1位:A.ストラディバリウス「レインヴィル」1697年/副賞 50万円
 第2位:M.ベルゴンツィー(EX.ミンツ)1764年/副賞 30万円
 第3位:G.F.プレッセンダ(EX.シュルツ)1831年/副賞20万円

 3月15日(火)から19日(土)にかけて行われる「宗次エンジェルヴァイオリンコンクール」を前にして、審査員による特別コンサートが開かれました。
 仕事の関係で、中澤きみ子さんから聴きました。

  第3回 宗次エンジェルヴァイオリンコンクール前夜祭
     7人の審査員によるガラ・コンサート
 2011年3月11日発生「東北地方太平洋沖地震」追悼・チャリティコンサート
    2011年3月14日(月)6:45PM 宗次ホール

1)原田幸一郎
 モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ヘ長調K.377

 1969年東京クヮルテットを結成、以後12年間第1ヴァイオリンを務める。
 現在桐朋学園教授。

2)中澤きみ子
 サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソイ短調 Op.28

 鈴木鎮一、海野義雄の各氏に師事。
 新潟大学を卒業後、ザルツブルグ、モーツァルテウム音楽院にて研鑽。
 現在、尚美学園大学及び同大学院客員教授。

3)澤 和樹
 ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ

 東京藝術大学大学院修了。
 ロン=ティボー、ヴィエニャフスキ、ミュンヘン等の国際コンクールに入賞。
 現在、東京藝術大学教授。

 ここで休憩時間となり、主催者の宗次徳二代表から挨拶があり、全員で大地震の犠牲者への黙祷を捧げました。
 このコンサートの収益に宗次さん個人の募金も合わせ、すべて被災者の救援に当てられるそうです。
※ブログによれば16日に中日新聞本社へ364万円の募金を届けられたそうです。

4)シュロモ・ミンツ(審査員長)
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004

 1957年モスクワ生まれ。2年後にイスラエルに移住。
 11歳でイスラエル・フィルと共演、16歳でカーネギー・ホールにデビュー。
 現在ヴァイオリニスト、ヴィオリスト、指揮者として活躍する世界的音楽家。

 シュロモ・ミンツを聴くのも見るのも初めてでしたが、弓を返すたびにギシギシいう音が聞こえるのが耳障りでした。
 しかし聴いているうちに、ミンツがこれ以上力を入れればギーギーいう汚い音になってしまうギリギリの所まで、ヴァイオリンを鳴らし切ろうと渾身の演奏をしていることが分かってきました。
 
 このような演奏をしていただけるとバッハの作品の偉大さが身に沁みて分かります。
 無伴奏パルティータは1770年、バッハ(35歳)がケーテン宮廷の楽長として活躍していた頃の作品です。
 ミンツの演奏を聴いて、次から次へと楽想が溢れ出る『シャコンヌ』は奇跡のような作品だと改めて感嘆しました。

 ここで2回目の休憩です。

5)フェリックス・アーヨ
 ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番

 1933年スペイン出身。18歳でイ・ムジチ合奏団の創設メンバーとなり、その後リーダーを16年間務める。
 母校、聖チェチーリア音楽院で15年間教鞭をとる。
 1933年生まれだから77歳でしょうか。
 まだまだ腕は衰えていません。

6)ヴェラ・ツー・ウェイ・リン(女性)
 ジンバリスト:リムスキー=コルサコフの「金鶏」の主題による演奏会用幻想曲

 上海出身。現在、北京中央音楽学院教授。
 モンテカルロ、モナコ、サラサーテ、エリザベート王妃等の国際コンクールで審査員を務める。

 この人の表現意欲も素晴らしいものでした。
 感銘を受けて、コルンゴルト/ゴルトマルクのヴァイオリン協奏曲のCDを買ってしまいました。

7)ソンシク・ヤン(男性)
 マスネ:タイスの瞑想曲
 パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲 第2番ロ短調 作品7より第3楽章「ラ・カンパネラ」

 ソウル出身。パリ高等音楽院、ロンドン・ギルドホール芸術院卒業。
 17歳でパガニーニ国際コンクール第3位をはじめ、ロン=ティボーなどの国際コンクールで入賞を果たす。
 現在、大邱カトリック大学教授。

 この人は技巧派ヴァイオリニストでしたが、韓国外務省からの通達に従い15日の朝帰国したいという申し出があり、帰国されたそうです。
 

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