セントラル愛知交響楽団 第112回定期演奏会
~ 笛のこだまとなりて夏の山 ~
齊藤一郎 協奏交響曲&『リンツ』
2011年5月13日(金)6:45PM しらかわホール

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 ウィークデイですから一曲目は諦めるけれども、珍しい「協奏交響曲」は聴いてみたい。
 全力を尽くしまして、我が家からホールの座席まで27分。
 舞台はちょうど「協奏交響曲」のセッティング中でした (^_^) 。

 セントラル愛知交響楽団 第112回定期演奏会
    ~ 笛のこだまとなりて夏の山 ~

   2011年5月13日(金)6:45PM
   三井住友海上しらかわホール

 モーツァルト:交響曲第33番変ロ長調 K.319
 モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調 K.297b
         (ロバート・レヴィン版)
 モーツァルト:交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』
 
 指揮:斎藤一郎
 フルート:磯貝俊幸 オーボエ:安原太武郎
 ファゴット:大津敦 ホルン:川尻登夢

 プログラムに書かれた「協奏交響曲」の解説を読んで、僕はビックリしてしまいました。

 1778年、モーツァルトは旅先のパリで、コンセール・スピリチュアルの委嘱により「フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンのために協奏曲を書いた」と父レオポルドに手紙を書いています。
 しかしこの曲の楽譜は失われてしまいました。
 
 ところが19世紀のモーツァルト研究家オットー・ヤーンの遺品の中から4管の協奏交響曲の楽譜がでてきました。
 楽譜はモーツァルトの自筆ではなく、ソロはフルートではなくクラリネットになっていました。

 そのため、この曲の真偽については議論がありましたが、1974年、アメリカの研究家ロバート・D・レヴィンは、統計学的な見地から、コンピューターを使って分析し、この曲を本物であると断定しました。
 彼は失われたフルートのパート自分の手で書き上げ、オーケストレーションをして、この曲の「あるべき姿」を復元したのでした。

 ソリストはセントラル愛知交響楽団の首席奏者たちで、本物かどうか怪しさ半分で聴いていましたが、まあ面白かったですね。
 どうしてもファゴットは音量的、音域的に聞こえにくいとは思いました。
 
 休憩後の『リンツ』は、力感とダイナミクスに溢れた、彫りの深い名演奏でした。
 典雅なモーツァルトというよりは力強いベートーベンといった感じでしたが、CDを発売していただければ、ぜひ購入したいですね。

 『音楽の友』今月号(2011年5月号)98ページ、「オーケストラのある風景」ではセントラル愛知交響楽団が取り上げられています。
 山野雄大さんの記事によれば「シューマンの『春』でも、楽団を猛然と煽りながら決めるところはピタリと引き締めて、楽団との丁々発止から力ある躍動を響かせる」とは、さすがにプロの文章です。

 記事によれば、楽団員の齊藤一郎さんに対する信頼も厚いようで、今シーズンの意欲的なプログラムが、少し心配だけれど (^_^; 、楽しみです。
 

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