名フィル ハイドン『ロンドンセット』ツィクルス Ⅰ
指揮&チェロ:鈴木秀美 2013年7月5日(金) しらかわホール

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 僕はヴァイオリンを弾くものですから、弦楽四重奏を自分で演奏したりすることがあります。
 すると、ハイドンの作品の方がモーツァルトの作品より出来が良いような気がするわけです。
 では「交響曲の父」と呼ばれるハイドンの交響曲はどうなのだろうと考えると、これが聴いたことが無いわけです。
 演奏される機会が少ないんですね。

 今回、名フィルが3年間掛けて、ロンドンセット(ザロモンセット)全12曲を演奏して下さるそうで、これは通わなくてはね。
 しらかわホールに到着したら、ちょうどチェロ協奏曲が終わったところでした。

 名古屋フィルハーモニー交響楽団
 ハイドン『ロンドンセット』ツィクルス Ⅰ

 2013年7月5日(金)6:45PM しらかわホール

 指揮&チェロ:鈴木秀美

 ハイドン:チェロ協奏曲第1番
 ハイドン:交響曲第93番
 ハイドン:交響曲第100番「軍隊」

 ハイドンは1761年、29歳の時にエステルハージー侯爵の楽団の副楽長となり、アイゼンシュタットにやって来ました。
 彼は1766年に楽長となり、およそ30年にわたりこの街を中心に活動しました。

 僕は2008年8月にアイゼンシュタットのエステルハージ宮殿を訪れ、豪華なハイドンザールを見て、「昔、こんな田舎町に立派なオーケストラがあって、ハイドンの交響曲を初演し続けていた」ということが現実のこととは思えないような気がしたものです。

 1790年にニコラウス公の死によって楽団が解散され、ハイドンは宮延楽長の名前を持つことと終身年金を約束されるという優遇の下ウィーンに移住し、自由に音楽活動を繰り広げることが出来るようになりました。

 ウィーンに移住してから間もなく、ハイドンはロンドンで興行家として活躍していたヴァイオリン奏者のヨハン・ペーター・ザロモンの訪問を受けました。
 ザロモンはハイドンに、ロンドンを訪問し、コンサートのために新しい交響曲の作曲と自作の指揮を依頼しました。

 ハイドンは1791年~92年のロンドン訪問で第93番~98番の6曲の交響曲を作曲しました。
 そして、94年~95年に2回目の訪問をし、第94番~104番の6曲の交響曲を作曲しました。
 ロンドン訪問は大成功を収め、ハイドンは多額の収入を得て、老後の資金を確保することができました。

 僕は今までに『驚愕』や『時計』の一部しか聴いたことが無く、今回のツィクルスでこれらの交響曲を聴かせていただけるとは有り難いことです。
 今日演奏された曲では、トライアングル、シンバル、大太鼓が活躍する「軍隊」のほうが面白く聴けました。
 この曲には打楽器だけでは無く、新しいアイディア(観客サービス?)があるような気がしました。