マーティン・ブラビンズ常任指揮者就任披露
名フィル第404回定期演奏会 オール・ワーグナー・プログラム
2013年7月19日(金)6:45PM 愛知県芸術劇場 コンサートホール

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 マーティン・ブラビンズ常任指揮者就任披露
 名古屋フィルハーモニー交響楽団第404回定期演奏会
 <火・水-炎は天界を焼き、指輪は水中に還る>
 2013年7月19日(金)6:45PM
 愛知県芸術劇場 コンサートホール

 指揮:マーティン・ブラビンズ
 ソプラノ:スーザン・ブロック*

・楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
  第1幕前奏曲
・ヴェーゼンドンクの5つの詩*

・楽劇『ラインの黄金』より
  「ヴァルハラ城への神々の入城」
・楽劇『ワルキューレ』より「ワルキューレの騎行」
・楽劇『ジークフリート』より「森のささやき」
・楽劇『神々のたそがれ』より
  「ジークフリートの葬送行進曲」
  「ブリュンヒルデの自己犠牲」*

 2013年4月に名フィル第8代常任指揮者に就任した英国の指揮者マーティン・ブラビンズが、いよいよ定期演奏会への初登場です(「BRABBINS」は「ブラビンズ」と発音するのだそうです)。
 しかも、生誕200年を迎えたオール・ワーグナー作品という意欲的なプログラムです。

 僕は土曜日の定期会員なのですが、つい本日(金曜日)のチケットも買ってしまいました。
 ウィークデイは後半しか聴けないのに‥‥。
 こういうときに「やはり自分はワーグナーが好きなんだな」と再認識したりします (^_^) 。

 マーティン・ブラビンズはロンドンで作曲を学んだ後、レニングラードで指揮法をイリヤ・ムーシンに師事。
 1988年リーズ指揮者コンクールで第1位となり、そのキャリアをスタートさせた。
 現在はロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者を兼任。
 最近の活動のハイライトとしては、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団へのデビューやロンドン交響楽団への客演、そしてミラノ・スカラ座へのデビューが挙げられる。

 後半の《ニーベルングの指環》ハイライトを聴きました。
 ブラビンズは一曲演奏するたびに入退場を繰り返しました。

 「ヴァルハラ城への神々の入城」は各パートの音が個別に聞こえてきて、全体としてのまとまりが感じられず、意外に音の薄い演奏かと思いました。
 「ワルキューレの騎行」は後半から盛り上がりました。
 「森のささやき」は名フィル木管楽器の首席奏者のアンサンブルを聴かせていただきました。

 僕は《ニーベルングの指環》のクライマックスは「ジークフリートの葬送行進曲」で「剣のテーマ」がトランペットによって演奏される部分だと思っているのですが、テンポの動きが無く、あっさりと流されたような演奏に感じられたのは残念でした。

 《ニーベルングの指環》ハイライトのおよそ半分を占めた「ブリュンヒルデの自己犠牲」。
 これは素晴らしい演奏でした。
 スーザン・ブロックは、ロイヤル・オペラハウス、ウィーン国立歌劇場、フェニーチェ歌劇場、その他でブリュンヒルデを歌っている、世界的ワーグナー・ソプラノだそうです。

 というか、このHPを検索してみたら、2002年3月31日に新国立劇場《ワルキューレ》で僕自身が彼女のブリュンヒルデを見ているんですね (@o@)。
 驚きました (^_^ゞ。

 大オーケストラをバックに従えて歌うスーザン・ブロックはブリュンヒルデそのもので、このような舞台を見ると、多額の費用を掛けて作品をねじ曲げ、観客を不愉快にする事を目的とする最近のオペラ演出の空しさがつくづく感じられます。

 カーテンコールは「スーザン・ブロック・コンサート」の終了後のようになってしましました。
 僕は明日も彼女の「ブリュンヒルデの自己犠牲」を聴くのですが、このような熱演をしてしまって、彼女の声は明日まで持つのでしょうか?
 
 カーテンコールが終わり、オーケストラも退場したステージで、司会者とブラビンズ、通訳の3人による新企画「ポストリュード(後奏曲) マーティン・ブラビンズ所信表明トーク」がありました。
 男性司会者の質問は月並みで平凡。
 女性通訳は実に優秀でした。
 ブラビンズのコンサートでは毎回このような企画が行われるそうで、熱意のある音楽監督を迎えることが出来たことを嬉しく思います。
 でも、帰宅時間は遅くなりそうです。

 会場からの質問も受け付けまして、「我々は8月25日にこの会場で《パルジファル》を上演するのですが、アドバイスをお願いします」 という質問なのやらPRなのやら不明の発言があって、盛り上がりました (^_^) 。
 質問者はブラビンズから「頑張って」と励ましの握手をしてもらっていました。


 2013年8月25日(日) 3:30PM
 舞台神聖祝祭劇《パルジファル》全3幕(演奏会形式)
 指揮:三澤洋史 演出構成:佐藤美晴
 パルジファル:片寄純也
 アンフォルタス:初鹿野剛
 グルネマンツ:長谷川 顕
 クンドリ:清水 華澄
 クリングゾル/ティトレル:大森 いちえい
 管弦楽:ワーグナー・プロジェクト名古屋管弦楽団