スロヴェニア マリボール国立歌劇場 《アイーダ》
2014年10月25日(土)5:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 「スロヴェニア国立歌劇場」の公演を見に行ったら、会場で売られていたプログラムには「スロヴェニア マリボール国立歌劇場」と書かれていました。
 統一していただきたいものです。
 「マリボール」はスロヴェニア第2の都市だそうで、2007年4月18日のスロヴェニア国立マリボール歌劇場の来日公演 《ラクメ》は、大阪フェスティバルホールで観劇したことがあります。

 僕はヴェルディのオペラは苦手ですが、《アイーダ》はブロードウェイミュージカル《アイーダ》を見てから、ちょっと好きになりました。
 《リゴレット》《オテロ》など見ているだけで不愉快になるストーリーのオペラは、もう見ません。

 スロヴェニア国立歌劇場 《アイーダ》
 2014年10月25日(土)5:00PM
 愛知県芸術劇場大ホール

 指揮:フランチェスコ・ローザ
 演出・舞台装置・照明
     :ピエール=フランチェスコ・マエストリーニ

 アイーダ:マリア・グレギーナ
 ラダメス:ピエロ・ジュリアッチ
 アムネリス:グアダルーペ・バリエントス
 アモナズロ:ダヴィド・マルコンデス
 ランフイス:ヴァレンテイン・ピヴォヴァロフ
 エジプト国王:アルフオンス・コドリッチ
 巫女の長:ヴアレンティナ・チュデン
 使者:マルティン・スシュニック

 前奏曲が始まると、古代遺跡で抱き合った恋人のミイラが見つかったという(無くてもいいような)寸劇が演じられましたが、ミュージカル《アイーダ》の影響でしょうか?
 あちらは博物館でしたけれどもね。

 指揮者フランチェスコ・ローザの音楽は、細かいフレーズまで表情付けされたもので、大いに気に入りました。
 この指揮者はダニエル・オーレンやマウリツィオ・ベニーニのアシスタントを務め、2007年の来日公演 《ラクメ》も指揮していたようです。

 フランチェスコ・マエストリーニの演出はどちらかというと地味で、オーストドックスにまとめたもの。
 凱旋の場でラダメスは一人で歩いて出てきますし、エチオピア人の捕虜は3人。
 事情は分かりますし、音楽を楽しむのに不足はありません。
 その分、バレエが大活躍していました。

 歌手陣はラダメス以外は素晴らしい出来でした。

 マリア・グレギーナは1964年、ロシアのオデッサ生まれの50歳?。
 声が衰えたという話も聞きますが、今日の出来は素晴らしかったです。
 グレギーナさんには1997年のメトロポリタン来日劇場《カヴァレリア・ルスティカーナ》の終演後に、サインと握手をしていただいたことがあります。
 あの時は33歳?だったんですね。

 アムネリス役のアルゼンチン人、バリエントス(20代だとか)は少々肥満気味でしたが、この人も素晴らしい声でした。
 愛知県芸術劇場大ホールは不必要に大きい空間だと思うのですが、安い席の僕までビンビン響いてくるんです。
 第2幕第1場のアイーダとの対決は手に汗を握るものでしたし、第4幕第1場の大音量オーケストラに対抗し、アムネリスの苦しみを訴える場面など、大いに感心しました。

 今回の公演は華麗な舞台装置や大人数の登場人物を楽しむ公演ではありませんが、声と声の饗宴から引き出される人間ドラマには圧倒されました。