関西二期会 第83回オペラ公演《アンドレア・シェニエ》
2015年6月28日(日)2:00PM
吹田市文化会館 メイシアター 大ホール

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 テレビで見た1961年の第3回イタリア歌劇団のためなのか、プラシド・ドミンゴが歌ったアサヒビールのコマーシャルのためなのか、僕は《アンドレア・シェニエ》が何となく好きで、関西二期会の公演に行ってきました。
 上演される機会の少ないオペラですからね。

 新幹線新大阪駅から2駅目のJR吹田駅の前には、なんとアサヒビールの広大な工場が広がっていました (@o@)。
 会場のメイシアターは開館30周年という古いホールで、座席が狭いのには困りました。
 もっと困ったのが、メイシアターは阪急吹田駅のそばなのですが、JR吹田駅にタクシーで戻ろうとしてもタクシー乗り場が見つかりません。
 仕方が無いので阪急に乗りましたが、すぐにここがどこなのかも分からなくなり、阪急沿線を彷徨いました。

 関西二期会 第83回オペラ公演《アンドレア・シェニエ》
 2015年6月28日(日)2:00PM
 吹田市文化会館 メイシアター 大ホール

 指揮:ダニエーレ・アジマン
 演出:デジャン・プロシェフ
 アンドレア・シェニエ:藤田 卓也
 ジェラール: 油井 宏隆
 マッダレーナ:尾崎比佐子
 ベルシ:山田 愛子
 コワニー伯爵夫人:安本 佳苗
 マデロン:井上 美和
 ルーシェ:片桐 直樹
 フレヴェル/フーキエ・タンヴィル:吉田 昌樹
 マテュー:萩原 次己
 修道院長/ 密偵:藤田 大輔
 シュミット / 主人/ 裁判長:服部 英生

 管弦楽:大阪交響楽団 合唱:関西二期会合唱団

 ダニエーレ・アジマンはイタリア人の指揮者で、ペーザロ・ロッシーニオーケストラ首席指揮者、くらしき作陽大学名誉教授だそうです。
 開幕のカーテンが上がる部分のオーケストラを聴いて、これは素晴らしい指揮者だ、素晴らしい演奏が期待できる、と確信しました。

 舞台装置はデル・モナコがそのまま出てきてもおかしくないようなクラシックなもの。
 適切な演出が付けられており、安心してオペラを楽しむことが出来ます。

 シェニエの藤田卓也さん、ジェラールの油井宏隆さんとも初めて聴きましたが、どちらも輝かしい、張りのある声で素晴らしかった。
 藤田卓也さんは島根大学大学院出身で、2015年12月に藤原歌劇団《仮面舞踏会》でリッカルドを歌われるそうです。
 マッダレーナの尾崎比佐子さんは、この二人に囲まれては、気の毒な面もあったでしょうか。

 いずれにせよダニエーレ・アジマン指揮の下、最後のクライマックスまで、血肉沸き躍るイタリアオペラの魅力を堪能させていただきました。

 さて、台本では第4幕の舞台はサン・ラザール監獄とされています。

 僕は2011年5月3日(火)にマリー・アントワネットの独房を訪ねて、パリのコンシェルジェリーに行ってみました。
 フランス革命の時代、今の最高裁判所のある場所に革命裁判所があったようです。
 そして隣の「コンシエルジュリー」は革命裁判所の監獄となりました。

 コンシェルジェリーで、マリー・アントワネットの独房を見てから、僕は「ジロンド党員の礼拝堂」という部屋に入ってみました。
 壁には一枚の絵が掛けられており、何となく説明を読んでいた僕は、中央の椅子に座る人物が、ジョルダーノのオペラ《アンドレア・シェニエ》(1896年初演)のモデルであるアンドレ・シェニエ(1762~1794)その人であることに気が付いてビックリしてしまいました。

 この絵の題名は「恐怖政治の最後の被害者たち」といい、処刑を待つジロンド党の人々が描かれているようです。
 その中央に描かれるとは、シェニエはかなりの重要人物だったようです。
 そして、彼が最後の時間を過ごしたのは、コンシェルジェリーだったのですね。

 25歳の時に駐英大使の秘書としてロンドンに赴任したシェニエは、フランス革命に共鳴して帰国し、穏健中道派の論客として知られるようになりました。
 やがてシェニエはジャコバン党と対立するようになり、危険を感じて身を隠しましたが、1794年3月7日パリに潜伏中に逮捕され、7月25日に処刑されました(享年31歳)。

 シェニエと同じ7月25日には38人が処刑されました。
 処刑はロベスピエールが「テルミドール(熱月)のクーデター」で失脚した7月27日まで行われ、27日も45人が処刑されたそうです。