名古屋二期会創立45周年記念公演 オペラ《宗春》
2015年10月24日(土)5:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 名古屋二期会創立45周年記念公演
 徳川宗春没後250周年記念公演

 2015年名古屋二期会定期オペラ公演 《宗春》
 2015年10月24日(土)5:30PM 愛知県芸術劇場大ホール

 台本:麻創けい子 作曲:中田直宏
 指揮:矢澤定明 演出:西川右近 振付:西川文紀

 宗春:奥村 晃平
 春日野:水谷 映美
 吉宗:水谷 和樹 塚本
 宣揚院:森本 ふみ子
 義直:初鹿野 剛
 影の者:渡部 純子
 万五郎:安井 智博
 織部:小出 隆雄
 竹腰:永井 秀司
 あかね:石川 能理子
 おとせ:夏目 久子
 庄兵衛:灰塚 弘
 おゆう:愛知 智絵
 喜八:菅 利行
 こさん:天野 久美
 田舎侍・上使:堀内 紀長
 岡引:鎌田 哲

 管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団
 合 唱:名古屋二期会合唱団 

 一年前にこの企画を聞いて、「それは上手く行かないのではないか?」と感じたのですが、予想どおりの残念な公演になってしまいました。

 問題の第一は、日本語公演なのに字幕を付けなかったこと。
 キャストがいくら頑張っても、フルオーケストラのクライマックスで声が聞こえるはずもありません。
 息子の万五郎がいつの間にか死んでいて、驚きました (^_^ゞ。

 次の問題点は麻創けい子さんの台本。
 プロフィールを見ると小劇場関係の方でしょうか?
 大劇場の大河オペラを書くには力不足だと感じました。
 玉屋庄兵衛のからくりとか、駆け落ちする恋人達とか、本筋では無い部分が長々と続き、宗春の物語が見えてきません。
 そいうえば、先日見た《イーゴリ公》でも、イーゴリ公の出番は少なかったですね (^_^ゞ。

 作曲の中田直宏さんは、2005年6月18日に名古屋二期会オペラ公演《なよ竹の輝夜(かぐや)》を見たことがあります。
 今回の《宗春》は現代オペラの通弊として、心に残るメロディーがありません。
 まあ、不協和音の連続で無かったことには救われました。

 西川流家元、西川右近さんの演出は合唱を並ばせて歌わせるなど、凡庸なもの。
 
 特筆すべきは舞台装置で、回り舞台やセリを使い、大道具も立派なものでした。
 歌舞伎の舞台技法が参考にされているのかと思いました。

 矢澤定明さん指揮するオーケストラは、難解な音楽を頑張って演奏していたと思います。
 カーテンコールで矢澤さんが登場すると、オーケストラのメンバー全員から万雷の拍手が送られました。
 このような場面は見たことがありません。
 初めて聞く名前ですが、良い指揮者なのかも知れません。

 僕はお墓が好きなので、10年以上前に、尾張藩のお殿様のお墓を訪ねたことがあります。
 尾張藩の菩提寺である東区の建中寺で尋ねたところ、おばさんに「墓はここにはない。どこにあるかも知らない (@o@)」と言われてしまいました。

 このオペラにも出てきた初代義直のお墓は中央線の定光寺にありました。
 定光寺は今では「幽霊ホテル」(中央線から見える)で有名ですが、義直のお墓は山の中にある立派なお寺でした。

 二代目からは建中寺に葬られたようなのですが、名古屋大空襲と戦後の境内をぶち抜く道路拡張工事のために、お殿様のお墓は平和公園に移されてしまったようです。

 平和公園は我が家の近くにある巨大な墓地公園で、確かに徳川家のお墓がまとまっていました。
 しかし何の案内も無く、「これがお殿様に対する仕打ちか!」と憤慨しました。
 あれから10年以上の月日が経ち、今ではもっと整備されているでしょうか?