中部フィルハーモニー交響楽団第62回定期演奏会
秋山和慶のブラームス・ツィクルスⅢ

2018年6月16日(土)3:00PM 三井住友海上しらかわホール

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 「ブラ-ムスの交響曲第3番が大好き」という話は何度も書いています。
 聴く機会の少ない中部フィルの演奏会があったので、行ってきました。

 第62回定期演奏会 ≪NAGOYAシリーズ2≫
 秋山和慶のブラームス・ツィクルスⅢ

 2018年6月16日(土)3:00PM
 三井住友海上しらかわホール

 指 揮:秋山 和慶
 ピアノ:北村 朋幹(きたむらともき)

 ブラームス:交響曲第3番ヘ長調
 ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調

 中部フィルハーモニー交響楽団は2000年2月、小牧市を本拠に設立されたました。
 愛知県3番目のプロのオーケストラでしょうか。
 2010年、4月、秋山和慶がアーティスティック・ディレクター&プリンシパル・コンダクターに就任。
 2017年4月より、芸術監督・首席指揮者に秋山和慶が就任。

 プログラムの前半が交響曲第3番で、これは熱演でした。
 浮かび上がって消えていく管楽器のソロが美しかったですね。
 僕は特に第2楽章が大好きで、物寂しいクラリネットのメロディーを聴いていると、生きているのが空しくなって来たりします。

 ブラームスが交響曲第3番を作曲したヴィースバーデンの家はこちらです。

 後半は名古屋出身の北村朋幹さんのソロでピアノ協奏曲第2番。
 僕は第1番は大好きですが、2番はそれほどでもありません。

 北村さんは愛知県立明和高等学校音楽科を経て東京藝術大学に入学し、現在ベルリン芸術大学に在籍。ライナー・ベッカー、伊藤恵、エヴァ・ポブウォッカの各氏にピアノを、ミッツィ・メイヤーソン氏にチェンバロ及びフォルテピアノを師事。
 僕が北村さんを最初に聴いたのは2009年6月13日の名古屋フィルハーモニー交響楽団第359回定期演奏会
 当時彼は明和高校の高校生でしたが、その後も順調に成長しておられるようです。
 ロビーに『サイン会はありません』との掲示がありましたが、ファンは大事にした方がいいかな、と思いました。

 この曲は長いので途中で抜け出しまして、ロビーの売店を見ていたら、『ところで、きょう指揮をしたのは?』という秋山さんの回想録(サイン付き)が売られていました。
 この本は斎藤秀雄、小澤征爾、アイザック・スターン、レオポルド・ストコフスキーなど多才な登場人物から、昭和の音楽史を見るようで、秋山さんの輝かしいキャリアにも引き込まれました。

 『ところで、きょう指揮をしたのは?』という本の題名は、「指揮者はめだたず、ひたすらよい音楽を求めるべきだ」という、秋山さんの信念によるものだそうです。
 秋山さんの音楽に「中庸」という印象を感じるのはそのためでしょうか?
 僕は自らの音楽を観客に伝えるために、オーケストラを振り回すような指揮者が好きですけれどもね。

 他の内容として、2010年の中部フィルの楽員再オーディションでは労働組合が結成され、日本音楽家ユニオンが乗り出す騒ぎになりました。
 2014年の広島交響楽団では佐村河内守《HIROSHIMA》の第1、第3楽章を初演されたそうです。

 斎藤秀雄先生の死去にあたって、秋山さんは翌日のヴァンクーヴァー交響楽団の演奏会で、先生が大好きだったブラームスの交響曲第3番第2楽章を心からの哀悼の意を込めて演奏されたそうです。
 僕と斎藤先生は趣味が合うのではないかと思いました。