藤原歌劇団 《蝶々夫人》 迫田美帆&藤田卓也
2019年4月28日(日)3:00PM テアトロ・ジーリオ・ショウワ

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 藤原歌劇団《蝶々夫人》
 2019年4月28日(日)3:00PM
 昭和音楽大学 テアトロ ジーリオ ショウワ

 指揮:鈴木恵里奈
 演出:粟國安彦
 美術:川口直次
 演出助手:馬場紀雄

 蝶々夫人:迫田美帆
 ピンカートン:藤田卓也
 シャープレス:市川宥一郎
 スズキ:但馬由香
 ゴロー:井出司
 ボンゾ:田島達也
 ヤマドリ:柴山昌宣
 ケイト: 吉村恵
 神官:立花敏弘

 合唱:藤原歌劇団合唱部
 演奏:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ

 2日目の蝶々さんは藤原デビューの迫田美帆さん。
 登場のソロでは1日目の小林厚子さんに較べ、ちょっと声量不足を感じました。

 ピンカートンは3月24日の伊丹市民オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》《道化師》でトゥーリッドとカニオを熱演された熱演された藤田卓也さん
 日本中で大活躍ですね。
 今日は少し声に痰が絡む部分があったような。

 長大な二重唱では、「やはり昨日の小林&笛田より、声量が少ないか」と聴いていましたが、だんだん盛り上がり、最後のハイCを決めていただけば、僕の喜びも絶頂です。
 迫田さんは演技的にも隙が無く、二重唱が終わって新婚の床に誘う蝶々さんの仕草の何という美しさ。
 粟國さん、川口さんの造り上げられた舞台装置が、圧倒的に魅力的です。

 本日は鈴木恵里奈さんの指揮もオケも慣れてきた感じでした。

 シャープレスの市川宥一郎さんは若手ですが、シャープレスはロールデビューでしょうか。
 この人が良かった。
 身長も高く、声に響きがあり、演技も細やか。

 例えば、シャープレスの忠告に耳を貸さないピンカートンが「最後はアメリカの女性と結婚する」と歌った場面。
 1日目の牧野さんはしばらく注がれたウィスキーを見つめ、中身を捨てる、という演技。
 一方市川さんは、ピンカートンの言葉を右手で制し、左手に持ったウィスキーを捨てるという演技。
 どちらの方がシャープレスの不快な気持ちが表れていると思いますか?

 スズキの但馬由香さんも良かった。
 蝶々さんとの最後の別れなど、鳥木さんでは泣け無かった部分でも、但馬さんでは嗚咽してしまうところがありました。
 油断しないと。
 蝶々さんと最後の別れをするところが、クライマックスだったでしょうか。

 ボンゾも2日目の田島さんの方が良かった。
 蝶々さんを思いっきり突き飛ばしたり、退場では蝶々さんにしがみつく母親を引っ剥がして、ぶん投げるなど、やりたい放題。
 でも僕が好きなのは、前回上演時のボンゾが土俵から落っこちそうになる松本さんの演出ですね。

 2日目柴山さんのヤマドリも存在感がありました。
 蝶々さんが観客に向かって歌っている後ろで、オーバーアクションで目立ち、最後は蝶々さんにキスをしようとして、突き飛ばされたり、ヤマドリはこうでなくては。

 さて、いろいろ書いていますが、今回の藤原歌劇団の《蝶々夫人》はどちらも充分に泣ける泣ける、レベルの高い公演でした。
 これで平成最後の観劇が終わりました。

 ぜひ次回の公演は映像化していただきたいのですが、主役2人は小林さんと笛田さん。
 ゴローは関西オペラ界から晴雅彦さんを招き、
 その他のキャストは2日目の方々。
 指揮とオーケストラはもっとオペラに経験豊富な方。
 そして、演出は松本さんのものに戻していただきたい。