ドイツ音楽紀行(18)1997年4月15日(火)
 ヴィースバーデン 《サンセット大通り》
 
前のページへ  旅行記の最初へ  ホームページへ  次のページへ
 

 《サンセット大通り》は、《キャッツ》や《オペラ座の怪人》で有名な、アンドリュー・ロイド・ウエッバー作曲のミュージカル。
 僕は2年前にロンドンで見て、このミュージカルがすっかり好きになってしまい、ブロードウェイまで見に行ったことがある。
 ところが、『主役のノーマ・デズモンド役を歌える女優がいない』とかいう理由で、各地でクローズが続き、今では上演されているのは世界中でヴィースバーデンのドイツ公演だけなんじゃないかな?
 ということで、ヴィースバーデンまで来たこの機会に、最後の《サンセット大通り》も見ていこう、ということになったわけだ。

 今回の旅に当たっては、いろいろ『地球の歩き方』のお世話になったんだが、記載内容に間違いもあった。
 で、一番ひどかったのがこれ。
 『地球の歩き方』には《サンセット大通り》は中央駅そばの『ライン・マイン・ホール』で上演されている、と書かれているが、実際はヴィースバーデンからSバーンで4駅ほど離れたニーデルンハウゼンにある『ライン・マイン・シアター』で上演されていた。

 《サンセット大通り》特別列車(SONDERZUG)はマインツ始発、ヴィースバーデン経由でニーデルンハウゼン行き。
 ヴィースバーデン中央駅は19時に発車。
 列車料金はチケット料金に含まれているんだそうだ。
 新しい車両だが、中には2〜30人の人しか乗車していない。
 これでは劇場がガラガラではないか? と心配になる。

 列車はノンストップで約20分くらいで現地に到着したんだが、そこで僕は仰天してしまった。
 そこはローカルの単線の線路わきの森を切り開いて劇場を作り、ホテルも建て、各地から観客を集めようという、スケールの大きい、驚きの企画 であった(@_@)。
 そして仮設の工事現場のような駅を作って、特別列車を停めてしまうんだよ!
 日本ではとても考えられないことだ。
 こんな山の中で、こんな企画が経営的に成り立つのか ??
 劇場前には広い駐車場があって、多くの車と10台くらいの観光バスが停まっていた。

鉄道の仮設駅 ライン・マイン・シアター


 ここでは1995年12月8日から公演が行われているようだ。
 まだまだ新しい劇場。
 世界各地で《サンセット大通り》がクローズする中、ここでは少なくとも今年中は上演が予定されているようだ。

      《サンセット大通り》1997年4月15日(火)19:45

        NORMA DESMOND:DANIELA ZIEGLER
        JOE GILLIS:YNGVE GASOY
        MAX VON MAYERLING:ALFRED PFEIFER
        BETTY CHAEFER:BARBARA WALLNER

 場内は、名古屋ミュージカル劇場に2階席を付けたような大きさ。
 舞台はロンドンやNYに較べると少し小さいか?
 座席は、驚いたことに、少なくとも1階はほぼ満席 (@_@)。

 ノーマの ZIEGLER はファーストキャスト。
 ジョーの YNGVE GASOY(何て読むんだろう?)は、ファーストの交代用キャスト(セカンドキャストはまた別にいる)。
 ジョーのファーストキャストは UWE KRO:GER(《エリーザベト》スタジオ録音のトート)だったので、残念だった。
 ドイツ語による公演 (^_^;。

 このミュージカルは、ビリー・ワイルダー監督の映画《サンセット大通り》をそのままミュージカル化したもの。
 売れない脚本家ジョー・ギリスが、借金取りに追われて逃げ込んだのは、かつての大女優ノーマ・デズモンドの豪邸。
 彼女は銀幕への復帰を夢み、ジョーの協力で『サロメ』の脚本完成を目指すことになる。
 ノーマが歌う『WITH ONE LOOK』は、前回の冬季オリンピックで、フィギュアスケートのナンシー・ケリガン(だったっけ?)が使っていたので、聞いた人もいるだろう。

 ノーマの豪邸がそのまま上方にせり上がり、その下に大晦日のバーのパーティーが出てくる、大がかりな装置も見所。
 ここに金がかかるので、日本公演は難しいとか。

 しかし、このミュージカルの第2幕はいいね(第1幕はちょっと、と言っているわけだ (^_^ゞ)。
 ノーマの愛人となったジョーが、ベランダでグラスを挙げて笑いを取って『SUNSET BOULEVARD』を歌い、最大の聴かせどころ、パラマウントスタジオでのノーマの『ALS HA:TTEN WIR NIE GOODBYE GESAGT』 (^_^;、そしてジョーと若い恋人ベティとの二重唱からフィナーレの惨劇へ、次から次へと見所が続く。

 ということで、最後のクライマックスになったんだが、去って行こうとするジョーがノーマに撃たれる拳銃の音で客席から笑い声が上がった (^_^;。
 そして、2発目の銃弾でジョーがオーケストラピットに落ちると、またまた大きな笑い声が (^_^;。

 そして最後、狂ったノーマがサロメの演技をしながら階段を降りてくると、あちこちからクスクスと忍び笑いが聞こえてくる (^_^;。
 この場面はわざとらしくて僕も好きじゃないけど、一生懸命演技しているんだから、笑っちゃダメだよ >ドイツのお客さん

 それでも、カーテンコールでは盛大な拍手。
 《サンセット大通り》を見ることが出来るのもこれが最後の機会かと、しみじみとしてしまった。
 終演後はまた特別列車に乗り、23:10ヴィースバーデン帰着。
 僕はこのミュージカルを見るためにヴィースバーデンに泊まったんだが、フランクフルトからも特別列車が出ているので、フランクフルト泊にしても良かったんだ。

前のページへ  旅行記の最初へ  ホームページへ  次のページへ