ドイツ音楽紀行(33)1997年4月19日(土)
ロンドン 《ジーザス・クライスト・スーパースター》

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 チューリッヒ発 11:25 のBAで、ロンドンに戻る。
 この飛行機には、日本人がたいへん多かった。
 チューリッヒからロンドンに到着したのは12時過ぎ。
 1時間の時差があるので、得をしたような気分になる (^_^) 。

 1週間前の失敗(バスで時間がかかった)を反省して、地下鉄でグロースターロードにある、フォーラム・ホテルに向かった。 
 ホテルにチェックインして、すぐ、コヴェントガーデンに向かう。

 駅を降りたストリートで、中国の民族楽器を演奏する5人組を発見(写真右 → )。
 二年前にロンドンに来たときも彼らを聴いて、大変上手で感心したことがある。
 笛、笙、揚琴、故弓、バンジョーみたいな民族楽器なんだが、CDを売っていたので買ってしまった(£10/2000円)。

 それによれば、彼らのグループ名は『北京兄弟』 (^_^) 。
 ゆっくり聴いていたかったが、もう時間がない。

 コヴェントガーデンのマーケットから《ミス・サイゴン》の看板を目印に歩くと、ドルリー・レーン劇場の手前に『劇場博物館』がある。
 その角を右に曲がると《ジーザス・クライスト・スーパースター》の旗が掛かったLYCEUM 劇場を容易に発見することが出来るだろう。
 ギリシャ風の歴史を感じさせる建物だ。
 ロンドンにはこの様な劇場が、一体いくつあるのだろう?
 大英帝国、おそるべし!

LYCEUM 劇場 チケット


 《ジーザス・クライスト・スーパースター》は、作曲:ロイド・ウェッバー、作詞:ティム・ライスのコンビの最初のヒット作で、当時ウェッバーは18歳というから、驚きだ。

 ストーリーは、あまりにも有名な、イエス・キリストの最後の7日間を扱っている。
 『人々はあなたのことをジーザス・クライスト・スーパースターと呼ぶが、あなたは本当に自分のことを、そう思っているのですか?』というウェッバー&ライスの疑問を、裏切り者となるユダの思いに託したもの。
 また、マグダラのマリアを売春婦的なキャラクターにしたため、キリスト教信者からの非難も多かった。

 僕はこのロック・ミュージカルが大好きで、昨年の秋にリバイバル上演が始まってから、早く見に行きたいものだと思っていたんだが、やっと思いが叶う。

        1997年4月19日(土)3:00PM

     JESUS OF NAZARETH:STEVE BALSAMO
        JUDAS ISCARIOT:ZUBIN VARLA
       MARY MAGDALENE:JOANNA AMPIL

 舞台はギリシャの円形劇場風。
 入りは90%くらいかな? 当日券でも、入れそうだった。
 キャストを中心に感想など。

 ジーザス役のスティーヴ・バルサモは、長い金髪、口ひげで、まるで西洋の宗教画から抜け出してきたイエス・キリストそのもののような容貌。
 彼は弱い人間としてのジーザスを演じている。
 素晴らしい歌唱力で、ジーザスの長大なソロ『ゲッセマネ』のハイトーンの凄まじさはCDで聴いても理解することはできないだろう。
 この様な人が存在すること自体が、僕には一つの奇蹟のように思われる。

 ズビン・ヴァルラは、悩みに悩むユダ。
 見ていて、気の毒になってしまう (^_^;。
 首を吊るシーンでは、ユダは首に綱を巻き付けて奈落に飛び降りる。
 ロープがぴーんと張って、本当に首を吊ってしまったのかと、仰天した。
 その後にも、ちょっとしたアイディアがあって驚いたが、それは秘密にしておこう (^_^) 。

 ジョアンナ・アンピルのマリアは、ジーザスを愛し、彼を護り、彼のために戦う、強いマリアだ。
 この役はこうでなくては、と思う。
 ジーザスを膝枕させながら歌う『I DON''T KNOW HOW TO LOVE HIM』には泣けた。
 この曲は美しすぎる。
 もうひとつ、逮捕されたジーザスが殴られ、蹴られしている場面、後ろの高いところで弟子達を従えて歌う『COULD WE START AGAIN,PLEASE?』も忘れられない。

 しかし、僕は無宗教だからいいけれど、会場に多くいるはずのキリスト教信者の人々は、殴られたり蹴られたりするイエス・キリストをどのような思いで見ているのであろうか?

 さて、この公演は、『オーヴァチュア』『神殿のシーン』等々、変に現代的で気に入らなかった場面もあったが、主役の3人については僕が『この3人はこうでなくてはならないはず』と考えていたとおりのキャラクターを見ることが出来て、大変満足できるものだった。

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