ドイツ音楽紀行(34)1997年4月19日(土)
イングリッシュ ナショナル オペラ 《ファウストの劫罰》

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 《ジーザス・クライスト・スーパースター》終演後、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)に寄ってみる。
 この日の演目はバレエ《ロミオとジュリエット》(プロコフィエフ作曲)。
 吉田都さんが出演するようで、並んでいる列には日本人も多く見られた。

 それからピカデリーのジャパンセンター(本屋さん・日本人いっぱい)で、
朝日新聞、週刊ポスト(これが一番新しい週刊誌だかった から (^_^; )、文芸春秋(明日の飛行機用)を買って、£12(2400円)。
 レスタースクエアまで行って、カフェで新聞を読む。
 トップ記事は動燃解体とか。
 ペルーの人質事件は未だ未解決。

 その後、猿岩石のゴールとなったトラファルガー広場(イングリッシュ・ナショナル・オペラ /ENO の近く)を目指す。
 広場に面したセント・マーティン・イン・ザ・フィールド教会では、6:30PMからバロックコンサートがあって、人が並んでいた。
 10分でも聴いていこうかとも思ったが、ここでは2年前に室内楽コンサートを聴いたことがあるから、今回は止めておいた。

コリシアム劇場 チケット


 風が強く寒かったので、早めにENOのあるコリシアム劇場に入る。
 プログラムを買ったが、内容は分からないので、暇つぶしにロビーで週刊ポストを読んでいたが、おかしかったかな (^_^;?
 周りの人は皆プログラムを読んでいたな。

 コリシアム劇場のエントランスロビーはROHよりもずっと立派。
 ただ、驚いたことに、クロークが無かった。
 地元の人もコートや荷物はひざの上に置いていた。
 劇場内部は大変大きい空間で、4階までの座席が馬蹄型になっている。
 壁の彫刻も立派で、建て替えの話があるそうだが、とんでもないことだ。
 しかし、椅子はちょっとすり切れていたね。

 ROHとの違いは、観客が普段着だということ。
 僕もネクタイをせずに済ませてしまった。
 この気楽な雰囲気は好きだな。
 それから英語上演だということ。
 日本ではROHより格下に考えられていると思うが(まあ実際そうなのかも知れないけれど)、上演のレベルは非常に高く本格的。
 今までに、まだ3演目しか見ていないけれど (^_^;。

      1997年4月19日(土)19:00

      CONDUCTOR:MARK ELDER
      DIRECTOR:DAVID ALDEN

      FAUST A PHILOSOPHER:BONAVENTURA BOTTONE
      MEPHISTOPHELES:WILLARD WHITE
      MARGUERITE:LOUISE WINTER
      BRANDER:GRAEME DANBY

 ゲーテが《ファウスト》を書いたゲーテハウスは、数日前にフランクフルトで訪れたばかり。
 ベルリオーズ作曲の《ファウストの劫罰》は、初めて見るオペラ。
 というより、今回の予定が分かってからあわててショルティのCD(一番安かった)を買って2回通して聴いただけのオペラ。
 そのような僕に、このような抽象的な演出は荷が重かった。
 訳が分からない (^_^;。

 DAVID ALDEN 演出のこのプロダクションは4月7日初演の新演出。
 途中休憩はなく、2時間15分通しの上演。

 舞台には真ん中を頂点とする三角形の大きい壁がある。
 ここがファウストの書斎みたいだ。
 《ハンガリー行進曲》の間、ファウストはたくさん積まれた本を、左の壁から右の壁に移している。
 メフィストフェレスは、たしか紫のスーツを着て影のように現れる。
 この人は黒人で、それがなかなか有効な場面かと思った。

 やがて、中央が大きく開き、酔っぱらった学生たちが現れる。
 やっとこれで話が分かるようになったかと思ったんだが、学生のリーダー・ブランデルは坊主頭の肥満体で半ズボンをはいていた (@_@)。

 それから後は、何と言ったらいいのやら‥‥ (^_^;
 『精霊の踊り』では舞台下手から、巨大な人形が現れ、ゆっくりと上手に向かって歩く (@_@)。
 どれくらい巨大かというと、首から上は舞台からはみ出して見えないんだわね。
 これがマルグリートの幻影だったようだ (^_^;。
 『鬼火のメヌエット』では、ピエロや、ジャグラーたちが次々と現れる。
 頭がたくさんある人物や、銀粉ヌード (^_^) も出てきた。

 ここまでやってもらえば、さすがにこれが夢の世界か精神異常の世界だということは分かる。
 そのうちに、拘禁衣を着た人たちが現れたから、たぶん精神病院なんだろうな、あれは。
 で、訳の分からないまま終わってしまった (^_^;。

 しかし、DAVID ALDEN の演出には、ボンの《パルシファル》(ギュンター・クレーマー)フランクフルトの《フィデリオ》(クリストフ・マルターラー)に感じたような不快感はない。
 とても舞台がきれいだし、不必要だと思われるものは無かった。
 何と言ったらいいか、『演出家の意図を考えなくては』と思わせる演出ではあった。
 また機会があったら、ALDEN 演出の舞台を見てみたいものだ。
 もう少し、よく知っている演目でね (^_^;。

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