ドイツ音楽紀行99(10) 1999年4月30日(金)
ハンブルク Y (新作オペラ)

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 15:58リューネブルク発 16:28ハンブルク着
 ホテルでしばし休憩後、オペラに出かけた。 l
 さてハンブルク国立歌劇場、本日の演目はルイジ・ノーノの新作オペラ 《Al gran sole carico d'amore 》。
 《愛の重荷を負った偉大な太陽の下で》 と訳しておこうか。
 全然自信ないけど (^^ゞ。

 この日にはムジークハレで北ドイツ放送交響楽団のコンサート(ゲルバーがソリスト)もあったので悩んだが、日本で上演されることはないであろうこのオペラを見た数少ない日本人の一人になろうかな、ということでオペラの方を選んでみた。
 客席は3階で8割くらいかな。 休憩時間に帰った人もいたようだ。

      ルイジ・ノーノ作曲 《Al gran sole carico d'amore 》 ハンブルク国立歌劇場
           1999年4月30日(金)19:30〜21:45(休憩25分)
               2.Rg. Balkon re. Reihe 3 Platz 1
                  3階席:75マルク(5250円)
             指揮:インゴ・メツマッハー  演出:トラヴィス・プレストン

 難解なオペラであることは覚悟していたが、予想通りにストーリーも音楽も訳の分からない作品であった。
 プログラムの表紙にはチェ・ゲバラのプラカードを持った人たちの写真が載っている。
 解説によれば、中心となる歴史的背景は
 1)1871年のパリコミューン
 2)1905年のロシア革命(血の日曜日事件)
 3)Arbeiternruhen in Italien,insbesondere Turin
 4)1953年のキューバ革命
 5)1960年のベトナム戦争

 プログラムの中には、ルイーズ・ミシェル(パリコミューンの関係者らしい)と、タマラ・ブンケ(キューバ革命の関係者らしい)という2人の女性の写真が載っていた。

 歌詞はイタリア語(多分)で、ドイツ語の字幕が上に出たが、いずれも理解不能だった。
 音楽は予想通り不協和音の連続で、メロディーらしいものはない。
 しかし、装置はお金がかかった立派なもので、オペラハウスの意気込みを感じた。
 歌やオーケストラも難しそうで、この上演のためにどれほど多大な努力がされたことであろう。
 このようなオペラを上演することは、現代のオペラハウスとして大変意義のあることであろうと思った。
 でも、もう一度見たいとは思わないけれどね (^_^;。

 で、訳が分からないんだけれど、僕が見たものについて報告しておこう。
 プロローグでは、まずダーウィンの進化論(?)がスクリーンに映される。
 天使のような翼を付けた女性と大きな頭部のオブジェ(5つ?)に乗った6匹の猿。
 天使と猿はその後も時々現れたが、彼らは歌わない。

 第一幕の舞台はパリコミューンらしい。
 レーニンらしき人物が出てきて、群衆のリーダーシップを取っていた。
 ビスマルクも一瞬出てきたね。
 最後は群衆が、何度も銃で撃ち倒されていたかな。

 第二部では大きな頭部のオブジェが出てきて、それが二つに分かれて開くと中には赤い帽子を被り手に赤い手帳を持った合唱団がいる。
 プログラムにはベトナム戦争と書かれていたが、むしろ文化大革命のイメージだ。
 ここで猿の一匹が毛皮を脱ぎ捨てるが、彼はどうもチェ・ゲバラになったようで(@_@)、しばらく活動した後、処刑されていた。
 最後はゲバラの母親(?)が旧ソ連の国旗の鎌の形のオブジェの上に、キリストのように張りつけられて、吊り上げられて、死んでいった。

 と書いても、よく分からないでしょう (^^ゞ?

 カーテンコールの拍手は熱の入ったものだった。
 ドイツ人はこういう難解な作品が好きなのであろうか?
 演出については、もともとの作品が難解なのであろうということで、《ヴォツェック》のような不快感は持たなかった。

 メツマッハー指揮するオーケストラには《ヴォツェック》に続いて感心したが、彼にも盛大な拍手が送られていた。
 少し髪形がおかしいかとは思ったけれど (^_^;、この指揮者は気に入った。
 今度はもう少しポピュラーな作品で聴いてみたいものだ。

 終演は9時40分。
 近くにある SUSHI FACTORY という回転寿司はいつも混雑していた。

 これでハンブルクの予定は終わり、明朝ベルリンに移動します。

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