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スカラ座は電光字幕が客席に取り付けられています。 メットやウィーンと同じですね。 この日の言語はイタリア語と英語でした。 僕なんか老眼だから、舞台と字幕で交互にピントを合わせるのが大変です (^_^; 。 それに、周りの電気まで見えて、これがうっとうしい。 このような馬鹿馬鹿しいシステムを、決して日本に導入する事がないよう、強くお願いしておきたいと思います。 見える範囲で電光字幕を使用していた人は、すべて英語を見ていました。 観光客ばかりなのでしょうか?
ヤナーチェック オペラ 《イェヌーファ》 指揮:ロター・ケーニッヒス(LOTHAR KOENIGS) 演出:シュテファン・ブラウンシュヴァイク (STEPHANE BRAUNSCHWEIG) ブリヤ家の女主人:METTE EJSING(読めない) ラツァ:ミロ・ドヴォルスキー シュテヴァ:イアン・ストレイ(IAN STOREY) コステルニチカ:アニア・シリア イェヌーファ:エミリー・マギー(EMILY MAGEE) 若い村娘イェヌーファは浮気者の色男シュテヴァの子どもを妊娠している。 ラツァ(シュテヴァの義理の兄弟)はイェヌーファを愛しており、彼女の顔をナイフで斬りつける。 やがてイェヌーファは出産し、シュテヴァは逃げ出す。 イェヌーファを何としてもラツァと結婚させたい継母(コステルニチカ)は、赤ん坊を川に投げ捨てるが‥‥。 いつの時代も、身持ちの悪い娘を持つと母親は苦労する、というお話でしょうか (^_^;。 何と言っても、イェヌーファ役のエミリー・マギーが、ルックス、歌唱、演技の総てにおいて抜群でした。 彼女はアメリカ人なのにチェコ語のオペラで主役を歌うとは、大変な努力があったのでしょう。 彼女は新国立劇場で《イドメネオ》のエレットラを歌っており、これは僕も聴いて圧倒されたのですが、あまりのキャラクターの違いに、とても同じ歌手には見えませんでした。 しかし、この上演で最も注目されたのはコステルニチカ役のアニア・シリアでしょう。 ヴィーラント・ワーグナーの愛人としてバイロイトの一世を風靡した、今や伝説上の人物といっても良いアニア・シリアを、実際に見る事が出来たのは望外の喜びでした。 少し声は弱くなっていますが、その存在感は抜群で、カーテンコールでも一番盛大な拍手を受けていました。 カーテンコールの最後に登場したエミリー・マギーがアニア・シリアにおずおずと近づき、シリアがマギーを強く抱きしめた場面では「松明を次の世代に引き渡す」という言葉が浮かび、たいへん感動しました。 シュテファン・ブラウンシュヴァイク(偉そうな名前だ)の演出は、松本のロバート・カーセンに似た簡素な舞台装置の中で、濃密な人間関係を描いたもので、良かったですね。 指揮者もとても良かったです。
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