ウィーンミュージカル 《エリザベート》 (14)
◇ 俺の新商品/夜のボート
 
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◇シーン13 マルタン岬のテラス

 マルタン岬ホテルは、コート・ダ・ジュールのマントン(イタリア国境のすぐそば)にある。
 エリザベートとフランツ・ヨーゼフは、1895年2月にこのホテルでしばらく一緒に暮らしたようだが、これは別に特別な機会でもなかったようで、なぜこのマルタン岬がミュージカルの舞台として選ばれたのか、よく分からない。
 まあ、彼らが会うこと自体が珍しいんだが。
 彼らが最後に会ったのは1898年5月のバート・イシュルで、エリザベートが暗殺されたのは同年9月10日。

僕が実際にマルタン岬に行くことが出来たのは、2008年12月29日でした。

 『俺の新商品』

 ルケーニが『キッチュ!』と同じようなスタイルで写真を売りながら歌う。
 『俺の新商品は、暖かいゼンメルのように(飛ぶように)売れてしまう。これらの写真の中で一番のお薦めは、息子の棺のそばに佇む苦悩にあふれた母の姿』という歌詞なので、オペラグラスでその写真を一生懸命見てみたが、良く見えなかったのは残念。
 写真が小さいんだもの(^_^;。

 『夜のボート』

 スタジオ録音CDの解説によれば『1895年2月の澄んだ夜、岬の眺望が美しいホテルのテラス』なんだが、実際の舞台は雲の上に、夕陽が輝く抽象的なもの。
 下手からエリーザベトが、上手からフランツ・ヨーゼフが登場し、近づきながら歌う。

 『王宮に戻っておいで、シシ。 我々はお互いのものだ。 私はいつもお前のことを思っている』
 『私たちは夜に漂う2つのボートのよう。 お互いがそれぞれの目的地を持ち、それぞれの荷物を持っている』
 彼らは歌いながら近づくが、彼らの通路には段差があり、それは決して交わることがなく、行き過ぎてしまう。

 この曲は婚約時代のエリーザベトとフランツ・ヨーゼフによってプラーター公園の観覧車で歌われた曲と一緒。
 愛し合い寄り添う、若い二人の婚約者によって歌われた曲なのに、どうしてこんな事になってしまったんだろう。
 この場面の演出は、皇帝夫妻のすれ違い夫婦ぶりがあまりに見事に表現されていて、とことん悲しい。
 

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