ウィーンミュージカル《エリザベート》来日公演 2007年4月11日(水)1PM & 5PM 梅田芸術劇場メインホール |
僕がウィーンで《エリザベート》を見たのは1996年8月13日。 大感激して、長文のレポートをニフティのミュージカルの部屋に書いたのでした。 小池修一郎改竄による日本公演は見るに堪えないので、海外に行くしかないと出かけたエッセンの舞台(01年8月12日)にはがっかり。 そして、03年12月31日に再びウィーンの舞台を見て、このミュージカルは卒業かと思っていたのですが、せっかくウィーンから大阪に来てくれるなら、最後の見納めかと出かけました。
![]() 2007年4月11日(水)1PM & 5PM 梅田芸術劇場メインホール エリザベート:マヤ・ハクフォート 死(トート):マテ・カマラス ルイジ・ルケーニ:ブルーノ・グラッシーニ フランツ・ヨーゼフ:マルクス・ポール 皇太后ゾフィー:クリスタ・ヴェットシュタイン 皇太子ルドルフ:ルーカス・ペルマン(マチネ) オリバー・ハイム(ソワレ) バイエルン公爵マックス:デニス・コゼルー ルドヴィカ公爵夫人:キャロリーネ・ゾンマー ルドルフ(子役):カズヒロ・ロエル(マチネ) ベンジャミン・フォン・ハンコ(ソワレ) 考えてみれば字幕のついた《エリザベート》を見るのは初めてです。 大いに助かりましたが、細かいところでは歌詞の意味するところがうまく訳せていない部分もあったようです。 舞台は、さすがに最後のフライングカーペットのようにクルクル回る装置はなかったものの、懐かしいウィーンのセットが目の前に再現されました。 作品には何回も手が加えられており、僕が最初にウィーンで見た舞台より角が取れて分かりやすくなっていました。 それがいいかどうかはまた別問題ですが‥‥。 特に残念だったのは『僕があなたの鏡だったら』。 マチネはファーストキャストが揃ったもので、現地ウィーンでもこれだけレベルの高い公演に巡り会うことは少ないでしょう。 1996年に最初に見たときのエリザベート役はマヤさんで、03年のウィーンも、そして今日のマチネ・ソワレもすべてマヤさん。 その間にマヤさんには子供が生まれたり(休演期間もありましたから)、インタビューによれば「この来日公演が自分の最後のエリザベート役になるだろう」とのこと。 しみじみと見てきました。 ソワレのトートは、声に疲れが見えたのが残念でした。 子役は日本で選んだようで、頑張っている子供は好きだけれど、歌はもう少し上手な方がいいですね。 ソワレはナンバーごとにヒューヒューと掛け声が飛ぶウィーンスタイルで、エリザベートがヴィンターハルターの絵のポーズで現れる場面でも、盛大な拍手が沸き上がりました。 これなら『エーアン』でハンカチを振る人も出てくるかとチェックしていたのですが、さすがにいなかったですね (^_^ゞ。 宝塚の演出家小池修一郎は宝塚の演出に当たり、この作品は宝塚ファンには難しいので分かりやすくすると言い、ストーリーを変え、歌詞を変え、宝塚に合わせて登場人物を増やしました。 1888年11月15日の『あなたのように』の場面に、当時影も形もなかったアキレイオン荘(1891年に完成)を出し、1889年の『HASS!』の場面に、当時オーストリアには存在しなかったナチスの旗を出し(ナチスによるオーストリア併合は1938年)、やりたい放題の改竄の末、このミュージカルを(僕にとって)見るに堪えない代物にしてしまいました。 宝塚という特殊な世界なら、それも許しましょう。 しかし、小池修一郎は呆れたことに、この偽物を東宝の舞台にまで持ち込み、「これがウィーンミュージカル《エリザべート》だ」と日本のミュージカルファンに押しつけたのです。 何という恐るべき悪行でありましょう。 小池修一郎のために、日本のミュージカルファンは本当のウィーンミュージカル《エリザべート》を知ることが出来なくなってしまったのです。 『キッチュ』でルケーニが(LUCHENI なのに、小池のせいでルキーニになってしまった)「エリザベートはエゴイスト。ルドルフの教育は他人任せで、スイスの銀行に莫大な個人口座を持っている」と皮肉、批難を歌っているのに、隣のお姉さんは嬉しそうに手拍子を打っている。 ああ、ここにも小池修一郎の犠牲者がいるんだ、と気の毒で気の毒で‥‥。 来日公演を見た宝塚ファンに聞きたいんですが、この作品は難しかったですか? それほど宝塚ファンのレベルは低いのですか? 少なくとも、小池修一郎はそう考えた訳なんですけれどね (^_^; 。
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