音楽座ミュージカル《マドモアゼル・モーツアルト》 2008年12月23日(火・祝)1:00PM & 6:00PM 東京芸術劇場 中ホール |
![]() 「モーツァルトは女だった!」というこの奇想天外な作品は、福山庸治さんの漫画の頃からクラシック音楽ファンの注目を集めていました。 僕は1991年の《マドモアゼル・モーツァルト》初演を見て以来、年季17年の大ファン。 ところが、この作品は主宰者にいいように弄ばれて、思い出したくもない1992年の再演や、2005年の『21C』ではイラク戦争まで入れられてしまい、これだけ別のミュージカルに改竄されては安心してチケットも買えません。 しかし、12年ぶりに小室哲哉さんの音楽が戻って来るという圧倒的な魅力には勝てず、マチネとソワレのチケットを買ってしまいました。 チケット購入後に小室さんが詐欺で逮捕されたり、スポンサーが抜けたりとかいう話も聞こえてきて、本当に上演されているのか確認しての東京遠征です。 1996年に脱税事件でかつての音楽座が活動停止になる最後の《マドモアゼル・モーツアルト》公演(第4演)には「これが最後の機会か」と思って、千秋楽公演まで行きました。 その後座付き作家・演出家の横山由和さんと音楽座との間で著作権を巡って争いがあり、横山さんが裁判に勝ったという記事を読んだ記憶があります。 それだけに、もう小室バージョンの《マドモアゼル・モーツアルト》を見ることは出来ないものと諦めておりました。 この著作権確認訴訟は2005年に和解が成立したそうです。
![]() 音楽座ミュージカル《マドモアゼル・モーツアルト》 2008年12月23日(火・祝)1:00PM & 6:00PM 東京芸術劇場 中ホール 原作:福山庸治 演出:ワームホールプロジェクト 脚本:横山由和、ワームホールプロジェクト エグゼクティブプロデューサー &クリエイティブディレクター:相川レイ子 音楽:ヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト /小室哲哉/高田浩 振付:謝珠栄 美術:朝倉摂 モーツァルト=エリーザ:髙野菜々(こうのなな) コンスタンツェ:安彦佳津美(あびこかずみ) サリエリ:広田勇二 カテリーナ:秋本みな子 フランツ:山崎義也 コンスタンツェの母:新木 りえ ダ・ポンテ:藤田将範 シカネーダー:吉田朋弘 レオポルト(父):新木 啓介 アンナ(母):浜崎 真美 ナンネル(姉):清田 和美 フィガロ: 渡辺 修也 スザンナ:宮崎 祥子 ケルビーノ:大川 麻里江 ドン・ジョバンニ:安中 淳也 レポレッロ:徳原 宇泰 石像:佐藤 伸行 ツェルリーナ:富永 友紀 夜の女王:野口 綾乃 タミーノ:兼崎 ひろみ パパゲーナ:片山 千穂 ダーメ:伊沢 絵里子 フィオルデリージ:堀川 亜矢 ドラベッラ:野田久美子 フェランド:山口 博之 グリエルモ:萩原 弘雄 ピアノ:高田浩 バイオリン:田島朗子 心配していたストーリーは解散前の最終公演(1996年版)で、四日市公演とほぼ同じ流れ。 ひとまず安心しました (^_^) 。 書き足された部分もあるようですが、書き足された部分は僕には不要の部分です。 やはり小室哲哉さんの音楽が圧倒的に魅力的です。 僕が小室さんの音楽といっているのは、初演の時の音楽であり、小室さんのCD『マドモアゼル・モーツァルト』に収録されている音楽です。 モーツァルトの音楽も、小室さんのフィルターを通したもの以外(たとえばパパゲーノとパパゲーナの二重唱など)は、僕にとっては不要です。 初演の刷り込み効果が今でも僕を強く支配しているわけです (^_^ゞ。 これほどの才能を持ち莫大な収入を得ながら浪費癖のために破滅してしまうとは、小室さんは現代のモーツァルトでしょうか (^_^ゞ。 キャストでは、モーツァルト役の髙野菜々(こうのなな)さんが素晴らしかった。 広島音楽高校ミュージカル科出身の19歳。 女性でありながらコンスタンツェと結婚する羽目に陥ったモーツァルトの苦悩から、女性としてサリエリからの愛を受けるエリーザの戸惑いまで、役に成りきった自然な演技で生き生きと演じ、また歌も文句なし。 この役が当たり役だった土居裕子さんのモーツァルトも、Rカンパニー公演の新妻聖子さんのモーツァルトも良かったけれど、高野菜々さんも文句のつけようがありません。 これで19歳なんですから、将来が楽しみです。 新妻聖子さんのブログを読んでいたら、新妻さんは昨日この舞台を観劇されたそうです。 そして、今年5月31日に新妻さんが出演した広島交響楽団ポップスコンサートに、高野さんは地元高校生として特別参加しておられたそうです (@o@)。 半年の間の何と急激な変化でありましょう。 もうひとりの新人コンスタンツェの安彦佳津美さんも良かったけれど、強いコンスタンツェで、僕はもう少し可愛い方が好み。 その他のキャストも充実しており、皆様にお勧めできる公演でした。 僕にとっては納得出来ない場面もあって、僕の理想の《マドモアゼル・モーツァルト》は僕の頭の中にあるんですけれどね (^_^) 。 『LOVE』の後半にモーツアルトの鏡(?)みたいな人が初演から付いていて、僕には意味不明だったんですが、女性が男性を演じるケルビーノにモーツァルト自身を投影させているんですね。 ベッドシーンでコンスタンツェが、モーツアルトが女だと知って動転する場面。 前回は『あなたは女だったの!』だったのに、今回は『化け物!』と変わっていてゲッソリ。 いくらビックリしても自分の夫を『化け物』なんて言わないだろう? 終演後にキャストがロビーに現れまして (@o@)、僕も列に並んで高野さんにサインしていただきました。
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