プッチーニ作曲 《トゥーランドット》
2009年3月15日(日)2:00PM びわ湖ホール大ホール

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 粟國 淳さんの演出は2006年3月18日の《カルメン》06年10月1日の《ラ・ボエーム》を見て、いずれも感心しなかったのですが、今回は《トゥーランドット》というグランドオペラを演出するという。
 心配でしたが、びわ湖ホールの魅力もあり、行って参りました。

 本日の琵琶湖は快晴で、青い湖と遠くの山が見えていました。。
 本当に、びわこホールは世界でもっとも美しいオペラハウスだと思います。

ロビー正面 八幡山 三上山
びわ湖ホールと石灯籠 ロビーから比叡山
ロビーから遊覧船 終演後 石灯籠と比叡山


    プッチーニ作曲 《トゥーランドット》
    2009年3月15日(日)2:00PM
       びわ湖ホール大ホール

    指揮:沼尻竜典  演出:粟國 淳

     トゥーランドット姫:横山恵子
     カラフ:水口 聡
     ティムール:志村文彦
     リュー:木下美穂子
     アルトゥム皇帝:近藤政伸
     ピン:晴 雅彦
     パン:大野光彦
     ポン:大槻孝志
     役人:与那城 敬

   管弦楽:京都市交響楽団
 
 最初に右のプログラムのような、舞台装置が出てきました。
 チャップリンの『モダンタイムズ』といいますか、ニーベルンゲン地下の世界といいますか。

 いかにも新進演出家にありがちな不必要なセットです (^_^; 。
 トゥーランドットの帝国は機械が支配する帝国なんだそうですが、演出家の思いこみに無駄なお金を掛けて、もったいないことだと思いました。

 それからは普通の演出になりました。
 第2幕などは大人数をうまく纏めて、壮大なクライマックスを作り出していたのではないでしょうか。

 沼尻竜典さんの指揮は、ひたすら素晴らしかったですね (^_^) 。

 キャストでは、カラフの水口 聡さんが素晴らしいドラマティックテノールを聴かせてくれました。
 銅鑼を鳴らす前の『トゥーランド~~ット!』をいつまでも伸ばしていただければ、オペラを聴く醍醐味を満喫できます。
 僕は「カラフなら笛田博昭さんに限る」と思っていたのですが、また素晴らしいカラフに出会えて幸せでした (^_^) 。

 笛田さんといえば、会場でもらったチラシによれば、3月21日(土)に関西フィルハーモニー管弦楽団の《蝶々夫人》でピンカートンを歌うようです。
 ところが、この3月21日(土)は、僕は長久手オペラ《イドメネオ》(主役:加藤利幸)を見なくてはなりません。
 笛田さんと加藤さんという中島基晴門下の二人が、同じ日にバッティングするとは困ったものです。

 オペラに戻りまして、トゥーランドットの横山恵子さんが、またまた素晴らしかった。
 氷のように透き通った、それでいてボリュームのある歌声で、彼女の長大なアリアから第2幕のフィナーレまでは、指揮、演出も合わせ、盛り上がりました。

 ところが、第3幕のリューのアリアになって、演出がなくなってしまいました。
 周囲をコーラスが取り囲む中で木下さんは2曲のアリアを歌い、これではまるで木下美穂子ソプラノリサイタルです。
 そして4人の兵士に刺し殺されました (@o@)。

 リューはカラフの名を明かすまいと必死に拷問に耐え、とうとう耐えきれずに自害するんでしょう?
 拷問が酷ければ酷いだけ、こちらの同情心、感動も高まるわけです。
 それが何もなし。
 プッチーニが心血を注いだ『リューの死』で全く泣けないとは、恐れ入りました。

 粟国さんによれば、リューは自ら望んで機械に殺されるんだそうで、粟国さんの頭の中はそういう世界かもしれないけれど、見ている僕としては白けてしまうだけです。
 あの兵士が粟国さんには機械に見えるんでしょうね。
 
 ここで舞台は一度暗転します。
 そしてアルファーノが補筆した二重唱から、音楽が再開されます。
 これは理のあることかと思いました。
 
 
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