佐渡 裕 プロデュースオペラ 《カルメン》
2009年7月25日(土)2:00PM  愛知県芸術劇場大ホール

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 僕は2006年7月に兵庫県立芸術文化センター(西宮)で聴いた佐渡裕さん指揮による《蝶々夫人》の印象が悪く、それ以来、佐渡さんのオペラには興味が沸きませんでした。
 しかし今回、せっかく名古屋まで来て下さるのなら、行かなくては失礼に当たるでしょう (^_^ゞ。

  佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2009
  ジョルジュ・ビゼー: 《カルメン》
  2009年7月25日(土)2:00PM
  愛知県芸術劇場大ホール

  芸術監督/指揮:佐渡 裕
  演  出:ジャン=ルイ・マルティノーティ
  装  置:ハンス・シャヴェルノホ

  カルメン:林 美智子
  ドン・ホセ:佐野 成宏
  エスカミーリョ:成田 博之
  ミカエラ:安藤 赴美子
  フラスキータ:吉村 美樹
  メルセデス:田村 由貴絵
  モラレス:桝 貴志
  スニガ:松本 進
  レメンダード:大川 信之
  ダンカイロ:初鹿野 剛


 愛知県芸術劇場大ホールは欠陥劇場で、正面席からオケピットを見ることができません。
 だから、佐渡さんの指揮についてはよく分かりません。
 オーケストラは全体的に柔らかい音かと思いましたが、時々ミスがありました。

 演出家のジャン・ルイ・マルティノーティはプログラムの解説でいろいろ面白いことを書いています。
 第一幕で舞台を横切る行列は、4月に行われるセヴィリアのセマーナ・サンタ祭りだそうです。
 そして、第4幕は闘牛が行われる2月か3月で、《カルメン》は大体1年のお話なんだそうです。
 このようにマルティノーティは詳しい知識を持ってますが、それを舞台化することには成功していないように感じました。

 《カルメン》はもちろん有名なオペラですが、なかなか納得がいく演出に巡り会うことがありません。
 オーストドックスな演出では、2004年12月26日に見た蒲郡《カルメン》の岩川均さんの演出が印象深く思い出されます。
 このオペラを処刑を前にしたホセの回想とした、プラハ国民歌劇場《カルメン》 のヨゼフ・ベドナーリク演出は衝撃的でした。

 さて《佐渡カルメン》に戻って、舞台は抽象的なもので、セヴィリアの街の華やぎといったものが全くありません。
 詰所にやってきたミカエラは、言い寄る兵士たちをナイフで追い払います。
 テレビで放映されたチューリッヒ歌劇場(?)の演出では、ミカエラは服を脱がされていましたね。
 演出は何でもありの時代です (^_^ゞ。

 この辺まではいいんですが、女工たちが出てきても誰がカルメンだか分からないのには参りました。
 『ハバネラ』を歌い始めて「ああ、ここにいたのか」とやっと分かったくらい。
 人物配置とか照明とか、もう少し知恵はないものでしょうか?

 丸顔で可愛い林さんは、とてもカルメンのような性悪女には見えません。
 声もミカエラのように澄んだ声で、キャラクターが違うでしょう。
 でも、ホセに乗っかたり濃厚な演技を要求され、それに一生懸命応えていました。

 しかし、ホセともども、この巨大劇場では声が聞こえてきません。
 一番聞こえたのはエスカミーリョだったでしょうか。

 カスタネットを叩きながらホセを誘惑するカルメンのアリアをストリップショーにしたのは一つのアイディアかと思いましたが、スカートくらいはしっかりと脱いでいただきたかった (^_^; 。

 ミカエラはガイドに案内されて岩山にやって来ます (@o@)。
 こんな夜中に若い女性が岩山にいるのは変だとは、誰もが思うところでしょうから。
 要らぬお世話かとも思いましたけれどもね (^_^; 。
 マルティノーティの解説には原作を良く読むように繰り返し書かれていますので、原作にはガイドが出てくるのでしょう。

 終演後、舞台監督の幸泉浩司さんによる、紗幕、照明など舞台の説明会とバックステージツアーがありました。
 これが一番面白かったでしょうか。
 女性キャストが早変わりの着替えをする、舞台裏のテント部屋も拝見してまいりました (^_^; 。

◇キャンディード

 来年の佐渡裕プロデュースオペラはバーンスタインの《キャンディード》だそうです。
 僕は2001年に佐渡さんの指揮、宮本亜門さんの演出で見て、そのつまらなさに辟易としました。

 来年は見なくても良いかとホッとしたのですが、小さい字で「演出:ロバート・カーセン」と書かれていてカーセンファンの僕としては参りました (^_^; 。
 宮本亜門とロバート・カーセンでは大違いなんだろうな、ということを確認に行くことになるのでしょう。
 
 
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