METライブビューイング 《トゥーランドット》
2010年1月17日(日)10:30AM ミッドランドスクエアシネマ

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  ミッドランドスクエアシネマに到着すると、「《トゥーランドット》のチケットは売り切れです」との放送が流れていて、仰天しました。
 僕は予約がしてあったので大丈夫でしたけれどね (^_^) 。

 実際会場に入ると、スクリーン直下の席まで人が座っていて、首が痛くなることでしょう。
 いつも入場者は30~50人くらいかな。
 《アイーダ》の時もお客さんは多かったけれど、驚くべき《トゥーランドット》人気です。

   METライブビューイング《トゥーランドット》
    2010年1月17日(日)10:30AM
       ミッドランドスクエアシネマ

  指揮:アンドリス・ネルソンス(ラトヴィア出身)
  演出:フランコ・ゼフィレッリ

  トゥーランドット:マリア・グレギーナ(ウクライナ出身)
  カラフ:マルチェッロ・ジョルダーニ(シチリア出身)
  リュー:マリーナ・ポプラフスカヤ(ロシア出身)
  ティムール:サミュエル・レイミー(アメリカ出身)

 演出家フランコ・ゼッフィレッリの最高傑作の舞台(の一つ)です。
 豪華絢爛なまったくこのオペラにふさわしい演出は、1988年(だと思う)のミラノスカラ座来日公演(指揮:ロリン・マゼール、NHKホール)で見たことがあるのですが、あれから20年以上の年月が経ち、まだメットで上演されているとは嬉しいことです。

 第2幕第1場のピン・パン・ポンの寓居から数十秒の暗転があり、照明が付くとそこは百人以上の人が揃う目も眩しい宮殿なんですから、ゼッフィレッリの魔法には圧倒されてしまいます。

 案内役はパトリシア・ラセットで、僕は彼女の《蝶々夫人》にズブズブに泣かされたので (^_^; 、ぜひDVD化していただきたいものです。

 ラセット:この役を演じるのに難しいところは?
 グレギナ:嫌われ役だから (^_^; 。実際私でも、今回のようなリューを聴かされたら泣いてしまうでしょう。

 この演出では第3幕リューの自害の場面で、リューとトゥーランドットの絡みがあって、その時にトゥーランドットは命を捨てても惜しくはない「愛」という不思議なものを知るのです。
 
 拷問に耐えられなくなったリューが、アリアを歌って短刀を振りかざせば、涙腺決壊です (^_^; 。
 ポプラフスカヤの見事な歌唱、演技には、インタビューで「舞台では泣かない」と言っていたグレギナも、泣いていたようです。

 突然ですが、びわ湖ホールの粟国演出を腹立たしく思い出しました (^_^ゞ。
 民主党の小沢幹事長を守るために逮捕され、検察の厳しい取り調べを受けている石川知裕議員は、現代のリューでしょうか?

 カラフのジョルダーニも素晴らしい歌唱でした。
 《ファウストの劫罰》の時よりも、声の調子は良いようでした。
 第2幕終了後のインタビュー。

 ラセット:第3幕には『誰も寝てはならぬ』がありますね。
 ジョルダーニ:プッチーニはこの曲を第3幕に置いてしまったもので、1,2幕をちゃんと歌っても、この曲で失敗すれば台無し。

 実際にはジョルダーニはこのアリアを見事に歌い上げ、盛大な拍手を受けたのでした。

 もう一人インタビューに出てきたのが、皇帝役のチャールズ・アンソニー。
 1929年生まれの80歳で (@o@)、1954年から50年以上メトで歌い続け (@o@)、3000公演近いメトの最多登場回数記録保持者です。
 興味深い話が聞けたけれど、長くなるのでカット (^_^ゞ。

 なにはともあれ、これは世界遺産とも言うべきプロダクションで、今日のミッドランドスクエアシネマにはオペラ初心者も多かったでしょうが、そういう方に「オペラとはこういうものだ」と胸を張って言うことが出来る舞台でした。
 
 
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