名古屋二期会2010年度オペラ公演 《ラ・ボエーム》
2010年10月10日(日)5:30PM 中京大学文化市民会館

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 今年の名古屋二期会は《ラ・ボエーム》。
 僕のお目当てはミミの二宮咲子さんとロドルフォの加藤利幸さん
 ところがこの二人がAキャストとBキャストに分かれていて、二日とも見に行くことになってしまいました。
 まあ、大好きな《ラ・ボエーム》だからいいけれどもね。

  名古屋二期会40周年記念 名古屋開府400年記念
  名古屋二期会2010年度オペラ公演《ラ・ボエーム》

  総監督:中田直宏
  指 揮:奥村哲也
  演 出:直井研二

  管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団
  合唱:名古屋二期会合唱団
      東郷少年少女合唱団
      モナミ児童合唱団

  2010年10月10日(日)5:30PM
  中京大学文化市民会館オーロラホール

  ミミ:武内朋子
  ロドルフォ:加藤利幸
  ムゼッタ:金澤澄華
  マルチェッロ:奥村晃平
  ショナール:吉田裕貴
  コッリーネ:安田 健
  アルチンドロ・ブノア:堀内紀長
  パルピニョール:荒川裕介

 上演前にアナウンスが入り、河村たかし市長の挨拶がありました。
 プログラムに長い文章が載っているな、とは思いましたが、まさか舞台にまで出てくるとは‥‥仰天しました。
 河村市長が市議会に対するリコール運動をしていることは、全国ニュースでも有名です。
 今日の挨拶も市民税減税の話でしたが、市民税減税をしてその余裕が出来たお金でオペラのチケットを買って下さい、と言ったのかな?
 まあ、減税に反対はしませんが (^_^ゞ。

 直井研二さんの演出は予想どおり、まったくオーストドックスなものですが、細かいところまで配慮が行き届いている。
 例えば、ミミのロウソクが消えるところでは、ドアの外に出したロウソクを誰か(風だな)が吹き消し、そしてロドルフォが「チャンス到来!」と自分のロウソクを吹き消すと、全体の照明が落ちて、暗くなった舞台でドラマが進みます。

 そして、ロドルフォが『冷たいこの手』を歌い始めると、徐々に月の光で舞台が明るくなって来るという、こういう演出でこそ、プッチーニの美しい音楽を心ゆくまで堪能し、哀しい青春ドラマに泣くことが出来るというものです。

 先日バイロイト歌劇場のテレビ放映があり録画しましたが、舞台は抽象的で登場人物は普段着ばかり。
 「ここはどこ? あなたは誰?」という世界で、一度通して見るのも苦痛でした。
 東京二期会ではコンヴィチュニーとかローウェルスとか、おかしな演出家(と僕は思っている)の侵略が進んでいるようですが、名古屋や関西などではまっとうな演出を楽しむことが出来て、幸せなことだと思っています。

 指揮者の奥村哲也さんは初めて見る名前で心配でした。
 プロフィールを読むと、ロンドンで音楽を学び、関西を中心に指揮活動をしているらしい。
 また珍しいことに、クラシックギターの演奏家でもあるらしい。
 
 奥村さんの指揮はきびきびしたもので、オーケストラから多彩な音色を引き出していたと思います。
 少し早めのテンポ志向で、合唱などが乱れる部分もありましたが、良い指揮者だと思いました。

 ロドルフォの加藤利幸さんは声の調子が悪そうでしたが、「冷たいこの手」のハイトーンをきちっと決めていただき、ファンとしては一安心 (^_^) 。
 ミミの竹内朋子さんはフランスから帰ってこられた方のようで、良いミミかと思いました。
 ムゼッタの金澤澄華さんは今回が舞台デビューなのでしょうか?
 頑張っておられましたが、スカートを上げて脚を見せるところでは、もう少し膝まではスカートを上げてもらわないと‥‥いや、ストーリー的にね (^_^ゞ。
 マルチェッロの奥村さん(理事長)をはじめとする若者たちも、生き生きと舞台を飛び回っていました。

 9月20日の《ホフマン物語》、そして《ラ・ボエーム》と、名古屋では良いオペラ公演が続いています。
 
 
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