尾高忠明 & 諏訪内晶子 ~哀愁のロシア~
2011年9月2日(金)6:45PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 僕は名フィルの定期演奏会(特にラフマニノフの交響曲第2番)を聴いてから尾高忠明さんのファンになってしまいまして、名古屋での演奏会は聴き逃さないようにしています。
 この日は山田和樹さん指揮するセントラル愛知交響楽団の定期演奏会もあったのですが、尾高さん優先です。

 このコンサートは豊田自動織機の主催で、入口には偉そうな人が並んでいました。
 ありがたいことです。

 尾高忠明 & 諏訪内晶子 ~哀愁のロシア~
 2011年9月2日(金)6:45PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
 指揮:尾高忠明
 ヴァイオリン:諏訪内晶子

 モーツァルト:「後宮からの逃走」序曲
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
 ショスタコーヴィチ:交響曲5番

 本日のソリスト、諏訪内晶子さんは1972年東京都出身というから、39歳。

 かつて名古屋で奮闘していた小ホール「スタジオ・ルンデ」で諏訪内晶子さんを初めて聴いたのは1990年(18歳)だったでしょうか。
 1987年に日本音楽コンクールで第1位(最年少15歳)を獲得した、赤いドレスを着たぽっちゃり丸顔の少女(大学1年生?)はブラームスのソナタなどを弾いたのですが、勉強中の学生レベルの演奏かと思いました。

 その数ヶ月後に彼女がチャイコフスキーコンクールに優勝したのには、本当に驚きました。
 スタジオ・ルンデでも、チャイコフスキーの小品は良かったけれど‥‥。

 しかし、帰国後にN響アワーで見たブルッフのヴァイオリン協奏曲は、緊張感のためか、とてもコンクールの優勝者とは思えない演奏でした(個人的な印象です)。

 諏訪内さん御自身がその危機を認識しておられたのでしょう。
 彼女は演奏活動を中止して、ジュリアード音楽院に留学されたのでした。
 週刊朝日の林真理子さんとの対談で、「私は五嶋みどりさんにはなれない」と語っておられるのを読んで、自分を客観的に評価できる聡明な方かと思いました。
 五嶋さんと諏訪内さんは、同じドロシー・ディレイ門下。
 ジュリアード卒業後、彼女は美人ヴァイオリニストとして国際的な活躍を始めるわけです。

 本日の演奏はお得意のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
 パリで聴いたヒラリー・ハーンより諏訪内さんの方が気に入りましたが、やはり五嶋みどりさんにはなれないようです。
 もう一度聴いてみたいヴァイオリニストかどうか、微妙なところですね。

 演奏後に尾高さんとのトークがありまして、「地震のとき諏訪内さんはどこにいましたか?」という質問に諏訪内さんは「パリの自宅にいました」と答えられまして、マスコミで大きく報道されている約7000万円の所得隠しの話(パリの自宅を経費として落としているとか)が始まるのかとドキドキしました (^_^; 。

 後半のショスタコーヴィチの交響曲第5番は、定期演奏会のラフマニノフに較べると練習時間が足りなかった感じ。

 素晴らしかったのがアンコールのエルガー:変奏曲『謎(エニグマ)』より 第9変奏「ニムロッド」。
 何という気高い音楽、演奏でありましょうか。
 僕の席はいつものように3階後ろの席なので、尾高さんのスピーチはよく聞こえませんでしたが、大震災以後の演奏会ではこの曲をアンコールにしておられるそうです。

 インターネットを検索してみたら、こちらにマエストロ尾高のメッセージがありました。
 http://www.youtube.com/watch?v=WCLb_lPY0XM

 尾高さんと札幌交響楽団による「ニムロッド」は先日BSで放送されていましたが、この録画は一生の宝物で、何度も聴き返しています。
 

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