あらかわバイロイト 《神々の黄昏》
2011年9月25日(日)1:00PM サンパール荒川大ホール

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 昔は「日本人がワーグナーを歌うことは肉体的に不可能」と当然のように言われていたものです。
 それが、「あらかわバイロイト」では、トリプルキャストでワーグナー作品を上演するという驚愕の企画で、一度は行ってみたいものだと思っていました。
 3時開演のバイエルン国立歌劇場《ローエングリン》とのダブルヘッダーです。
 
サンパール荒川 ロビー


   オペラ劇場あらかわバイロイト
   舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」第3日
   R.ワーグナー作曲 《神々の黄昏》

   2011年9月25日(日)1:00PM
   サンパール荒川大ホール

   指揮:クリスティアン・ハンマー
   演出:佐藤美晴
   公演監督:田辺とおる

   ジークフリート:今尾滋
   ブリュンヒルデ:福田玲子
   ハーゲン:若林勉
   グンター:高橋祐樹
   グートルーネ:羽山弘子
   ヴァルトラウテ:向野由美子
   アルベリッヒ:田辺とおる
   第一のノルン:奥野恵子
   第二のノルン:竹内恵子
   第三のノルン:井上智映子
   ヴォークリンデ:近藤幸江
   ヴェルグンデ:平舘直子
   フロスヒルデ:栗田真帆

 この《神々の黄昏》は、僕の予想を遙かに上回る、レベルの高い公演でした。
 この日の東京は、バイエルン国立歌劇場《ローエングリン》、ボローニャ歌劇場《エルナーニ》、と3つのオペラがバッティングしているのですが、客席は8~9割の入りでした。

 この上演の音楽的な中心が指揮者のクリスティアン・ハンマー。
 《神々の黄昏》などというオペラの楽譜を見るのも初めてであろうメンバーを、よくこのレベルまで引っ張り上げてくれたものです。
 僕は2006年11月にハンマーが指揮する《ナクソス島のアリアドネ》を名古屋で聴いており、当時から良い指揮者だと思っておりました。

 歌手では男性軍に感心しました。
 ブリュンヒルデの福田玲子さんは、高い音は良かったけれど、低い音に響きがないのが残念。
 この後に聴いた《ローエングリン》のエミリー・マギーは、高い音と低い音に差がありませんでしたからね。

 プログラムには3人のハーゲンの座談会が載っていて、「どうして日本にハーゲンを暗譜で歌える人が3人もいるのだろう」と驚くやら感心するやら。
 もちろん、他のキャストもそうなんですけれどもね。
 
 佐藤美晴さんの演出はいかにもワーグナーらしい、納得できるもので、それほどお金はかかっていないはずなのに舞台転換まであって、嬉しい驚きでした。

 第一幕(120分)だけ聴いて、NHKホールの《ローエングリン》に移動しましたが、残りの幕を見ることが出来ないのが本当に残念でした。
 これほどのレベルなら前日に後半の幕を見ておけば良かった、と後悔しています。

 前日のBキャストを振ったのは青森県弘前市出身の佐々木修さん。
 10年以上前に名古屋の学生オケを振ったところを拝見しましたが、このような場で活躍しておられたのですね。

 第一幕の開始前に、階段に並んだ金管のファンファーレがありました。
 またロビーでは休憩時間の食事の予約もされていて、どこまでもバイロイト風で嬉しくなってしまいました (^_^) 。
 公演監督の田辺とおるさんにはひたすら感謝です。
 

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