関西フィルハーモニー管弦楽団 《ワルキューレ・第3幕》
2012年6月14日(木)7:00PM

「REVIEW12」に戻る  ホームページへ  飯守泰次郎さん観劇記録
 
 
 僕は今まで自分が聴いた飯守泰次郎さんのベストフォーを、名フィル《ワルキューレ》関西二期会《パルジファル》東京シティ《神々の黄昏》基村昌代さんとの「愛の死」だと思っています。
 特に1998年3月の名フィルとの《ワルキューレ》全曲(ステージオペラ形式)は飯守さんの名フィル常任指揮者としての「さよなら公演」であり、舞台を赤々と染めたフィナーレは忘れることができません。

 その飯守さんの《ワルキューレ》第3幕が関西フィルの定期で取り上げられるという。
 名フィル《ワルキューレ》から14年の日々が過ぎ、この機会を逃すと次の機会は無いかもしれません。
 ということで、午後の仕事を休みにしてザ・シンフォニーホールに向かいました。

 関西フィルハーモニー管弦楽団第239回定期演奏会
 2012年6月14日 (木) 7:00PM
 ザ・シンフォニーホール

 指揮:飯守 泰次郎(関西フィル桂冠名誉指揮者)

 ワーグナー:歌劇《ローエングリン》より
  第1幕への前奏曲
  エルザの大聖堂への入場
  第3幕への前奏曲

 ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第3幕
 (演奏会形式による原語上演,字幕付き)

 ブリュンヒルデ:畑田 弘美(ソプラノ)
 ジークリンデ:雑賀 美可(ソプラノ)
 ヴォータン:片桐 直樹(バス・バリトン)
 ヘルムヴィーゲ:佐竹 しのぶ(ソプラノ)
 オルトリンデ:木澤 佐江子(ソプラノ)
 ゲルヒルデ:白石 優子(ソプラノ)
 ヴァルトラウテ:小西 潤子(ソプラノ)
 ジークルーネ:森川 華世(ソプラノ)
 ロスヴァイセ:西村 薫(メゾ・ソプラノ)
 グリムゲルデ:山田 愛子(メゾ・ソプラノ)
 シュヴェルトライテ:橋爪 万里子(メゾ・ソプラノ)

 前半の《ローエングリン》はさらりと流した感じでしょうか。
 オーケストラとしてはスタンダードなナンバーで、それほどの練習時間も取れなかったでしょう。
 関西フィルは名フィルより(この曲に関しては)アンサンブルの精度が落ちるような気がしました。

 お目当ての《ワルキューレ》第3幕は、最初の『ワルキューレの騎行』から気合いの入ったものとなりました。
 それぞれのドレスを着た8人のワルキューレ達は指揮者の右側に並んで歌いましたが、オペラのような動きがない分、誰がどの部分を歌っているのか分かって、面白く聴くことが出来ました。
 全員が暗譜での歌唱で、努力賞ものかと思いました。

 主役の3人は譜面台付きの演奏会形式です。
 おかしな演出よりこの方が良いかと思ったり、やはりクライマックスではヴォータンとブリュンヒルデががっしりと抱き合って欲しいと思ったり。

 ジークリンデの雑賀美可さんは声量のある方でしたが、少し歌って出て行ってしまいました (^_^; 。
 ブリュンヒルデの畑田弘美さんはこの役にしては少し声量が少ないかとも思いましたが、立派な歌唱を聴かせていただきました。

 やはりこの曲のクライマックスは『ヴォータンの別れと魔の炎の音楽』でしょう。
 飯守さんの創り出す打ち返す波のように壮大なワーグナーの音楽と、片桐直樹さんの豊かな歌声に痺れてきました。
 ワーグナーはこうでなくてはね。
 
 大阪のJRは乗り継ぎが面倒なので、終演後はホール前で待っていたタクシーに乗りましたが、新大阪駅まではおよそ20分。
 料金は1620円で、愛知県芸術劇場から我が家までのタクシー代より安いんですね (@o@)。