チョン・キョンファ(鄭 京和)ヴァイオリンリサイタル
 2013年6月8日(土)5:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 チョン・キョンファ15年ぶりの『名古屋音楽祭』登場だそうです。
 65歳。
 僕は昔に彼女の演奏を聴いた(見た)ことがあり、蛇のように身をくねらせながら何かに取り憑かれたような演奏に、「これほどまで見苦しい格好をしないと音楽を表現できないのだろうか?」とゲッソリしたことがあります。
 宇野功芳さん(?)は「シャーマンのように神々しい」と書かれていたような記憶があり、いろいろな見方があるなと思ったものです。

 15年経って、彼女の演奏スタイルが変わったのか変わらないのか、怖いもの見たさ (^_^ゞ で出かけました。
 
 チョン・キョンファ(鄭 京和)ヴァイオリンリサイタル
 2013年6月8日(土)5:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 ピアノ:ケヴィン・ケナー

 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調
 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」
 バッハ:シャコンヌ
 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

 最初に感じたのは、このホールには彼女の音が小さいこと。
 演奏スタイルは普通になっていました。
 後半の方が良い出来かと思いましたが、これは曲目のためもあるでしょう。

 フランクのヴァイオリンソナタといえば1998年12月6日に聴いた五嶋みどりと、2011年9月17日に聴いたラチャ・アヴァネシヤン。

 例えば同じ愛知県芸術劇場コンサートホールで聴いた五嶋みどりのコンサートではあまりの熱い迫力に、第2楽章が終わったところで盛大な拍手が自然に沸き起こったものです。
 今日のチョン・キョンファにそれほどの盛り上がりは感じられませんでした。
 観客を感動させるのはやはり演奏家の持つパワーでしょう。
 
 チョン・キョンファは1984年(36歳?)にイギリス人の実業家と結婚。
 出産を機に一時的に活動を休止するが、すぐに復帰。
 2005年(57歳?)に指の炎症のために投与された大量のコルチザンの激しいアレルギーのために、指のみならず、肉体的精神的に大きく落ち込んだ。
 母校ジュリアードに教授として迎えられ、学生を教えながら静養を取った。
 2010年5月にアシュケナージ指揮フィルハーモニア管弦楽団とブラームス「ヴァイオリン協奏曲」を演奏し、カムバックした。

 ピアニストのケヴィン・ケナーは1990年のショパン国際コンクール最高位。
 チョン・キョンファの信頼するピアニストの一人だそうです。
 第2楽章の分散和音の中からメロディーが浮かび上がってくる部分では、ちょっとメロディーが埋もれてしまったようです。
 そもそも、フランクのヴァイオリンソナタはヴァイオリンよりピアノの方が難しいんです。
 ヴァイオリンパートなら僕でも7~80%は弾けるような気がします。