ワーグナー《パルジファル》全3幕 コンサート形式・名古屋地区初演
2013年8月25日(日)3:30PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 毎回書いているのですが、僕は一度だけバイロイト歌劇場で観劇したことがあって、それは1980年8月16日(土)の《パルジファル》
 あの時は「こんな難しいオペラを見るのは一生に一度」と思ったのですが、その後もあちこちで《パルジファル》を見る機会があり、今回が9回目の観劇になるようです。
 こんなに何回も《パルジファル》を観劇する人生を送ることになるとは、自分でも驚いています (^_^ゞ。

 ワーグナー《パルジファル》全3幕 コンサート形式・名古屋地区初演
 2013年8月25日(日)3:30PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール
 主催:ワーグナープロジェクト名古屋、モーツァルト200合唱団

 指揮:三澤洋史
 パルジファル:片寄 純也
 アンフォルタス:初鹿野 剛
 グルネマンツ:長谷川 顕
 クンドリ:清水 華澄
 クリングゾル:大森いちえい
 ティトレル:大森いちえい
 聖杯騎士1:堀内 大輝
 聖杯騎士2:滝沢 博
 小姓1:上井 雅子
 小姓2:三輪 陽子
 小姓3:大久保 亮
 小姓4:神田 豊壽
 花の乙女1-1:基村 昌代
 花の乙女1-2:杉浦 愛美
 花の乙女1-3:加藤 愛
 花の乙女2-1:大須賀 園枝
 花の乙女2-2:船越 亜弥
 花の乙女2-3:三輪 陽子
 アルトの声:三輪 陽子
 合唱:モーツァルト200合唱団
 管弦楽:ワーグナープロジェクト名古屋管弦楽団

 東海地方のアマチュアオーケストラがワーグナーの難曲に挑戦したというところが、今回の公演のポイントでしょう。
 この作品の深い意味、歌詞、オーケストレーションの隅々まで知り尽くした三澤洋史さんの指導の下、この公演はかなり高いレベルで成功したと思います。
 
 舞台上のオーケストラの奥にステージが作られ、主要なキャストはこのステージで歌います。
 合唱団はパイプオルガンの前の席(2階)に位置します。
 楽譜を見ながらの演奏会方式でしたが、演出構成に佐藤美晴さん(あらかわバイロイト《神々の黄昏》の演出家)を招き、動きはスムーズでした。
 サイケな服を着たクリングゾルがパイプオルガンの横から現れ、ステージ上のパルジファルに槍を投げる(ポーズをする)場面がオペラらしかったでしょうか。

 三澤さんが選ばれ、自らがピアノを弾きながら個人練習されたというキャストの皆さまは大変立派な歌唱でした。
 大編成オーケストラの後ろからバンバン歌声が聞こえてくるんです。
 《パルジファル》にはあまり音楽的に面白くない部分があると思うのですが、これだけの声で歌っていただければ退屈する事はありません。
 そして盛り上がる部分ではワーグナーサウンドにどっぷりと浸り、痺れ上がることが出来るわけです。
 
 何回目かのカーテンコールで、小走りに現れた三澤さんはオーケストラの最後列に座っていたチューバの佐藤悦雄さん(ワーグナー・プロジェクト名古屋実行委員長)をステージ前まで引っ張り出しました。
 この公演の音楽的リーダーが三澤さん、そして運営のリーダーが佐藤さんです。
 二人はステージでガッシと抱き合いましたが、三澤さんは小柄な方で、佐藤さんは長身の立派な体格。
 容積的には2倍以上の差があったのではないでしょうか。

 この日の読売新聞朝刊にこの公演が取り上げられ、「愛知県警の警官が企画」という小見出しが付いていました。
 記事によれば佐藤さん(41)は県警豊田署の生活安全課で防犯指導などをされているそうです。
 オーケストラには昔の仲間の顔も見え、僕も10年若かったら、セカンドヴァイオリンの末席で弾かせていただきたかったですよ。

 プログラムには日本における《パルジファル》の上演記録が載っており、今公演を入れて10回の公演が挙げられています。
 僕はそのうちの7回を見ていますが、「あらかわバイロイト」を見逃したのが残念です。