みつなかオペラ 《カプレーティとモンテッキ》全2幕
2013年9月29日(日)2:00PM みつなかホール(川西市)

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 JR川西池田駅前には武将の騎馬像が建っておりまして、源満仲という人物。
 案内板によれば、源満仲(912~997年)は第五十六代清和天皇の曾孫にあたり、平安時代中期に川西の多田盆地に移り住み、清和源氏の礎を築いたとのこと。
 子孫には八幡太郎義家、源頼朝、足利尊氏、武田信玄などなど、有名人物がゴロゴロしています。

 タクシーの運転手さんの話では、本日の会場「みつなかホール」はこの「源満仲」から名付けられたそうです。
 僕は「みつなか」というのは、スポンサーの名前だと思っていました (^_^ゞ。

JR川西池田駅 源満仲 騎馬像


 《カプレーティとモンテッキ》というオペラはスカラ座の来日公演で見たことがあり、ネット検索してみると、それは1988年9月14日の大阪フェスティバルホール。
 25年前ですか。
 指揮はリッカルド・ムーティ、演出はピエール・ルイージ・ピッツィ、ロメオはアグネス・バルツァ、ジュリエッタはルチア・アリベルティだったようです。
 これは舞台にすきま風の吹く寒々とした公演で、オペラというものに失望した、悪い記憶があります。
 
みつなかホール エントランス
ピット使用時 423席 休憩時間のロビー


 ベッリーニ/歌劇 《カプレーティとモンテッキ》全2幕
 2013年9月29日(日)2:00PM
 みつなかホール(川西市)

 指揮:牧村 邦彦
 演出:井原 広樹
 装置:アントニオ・マストロマッテイ

 カペッリオ :片桐 直樹
 ジュリエッタ:坂口 裕子
 ロメーオ  :高谷みのり
 テバルド  :中川 正崇
 ロレンツォ :鈴木 健司

 管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 合唱:みつなかオペラ合唱団

 井原広樹さんの解説に拠れば、シェイクスピアを遡ること40年、イタリアの小説家マッテーオ・バンデッロの小説をフェリーチェ・ロマーニが台本化した作品だそうです。

 第一幕を見ながら思ったのは、このオペラは台本が悪いということ。
 「一緒に逃げよう」というロメーオに「父親が可哀想だからここに残る」というジュリエッタ。
 それではどうしようも無いでしょう。
 同じ事の繰り返しが長々と続き、イライラしました。
 《蝶々夫人》の第二幕と同じようにね (^_^ゞ。

 台本はさておき、この公演はレベルの高い公演で、大いに満足しました。
 巨大な二枚の壁を人力で動かす抽象的な舞台ですが、演技がしっかりと付けられたオーストドックスな演出です。
 関西では一つの街に一つ以上のオペラ団体があるのかな?
 ヨーロッパの悪しき風潮に染まった東京と異なり、オーストドックスでオペラそのものを楽しむことが出来る公演ばかりで、嬉しくなってしまいます。
 舞台衣装がまた美しいもので、男性コーラスが頑張っていました。
 
 キャストではロメーオの高谷(たかたに)みのりさんの舞台姿に見とれてしまいました。
 宝塚の男役そのものです。
 僕は2003年9月7日(日)に堺シティオペラの《修道女アンジェリカ》で高谷さんを拝見しています。
 アンジェリカ役にはかなり高い音が出てきますから、メゾソプラノのロメーオと両方の役を演じられることが不思議でした。

 高谷さんは2006年から5年間、イギリスに滞在されたそうです。
 最近では2013年7月28日 河内長野マイタウンオペラ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》のローラ役で出演しておられました。

 ジュリエッタ役の坂口裕子さんは好演。
 カペッリオ役の片桐直樹さんとロレンツォ役の鈴木健司さんは響きのある声で、存在感がありました。
 テバルド役の中川正崇さんは高い音に果敢に挑戦しておられました。
 オーケストラの各パートにもソリスティックなメロディーがあり、皆さま頑張っておられました。