コンセルヴァトーリオ名古屋二期会 マスタークラス終了オペラ公演
《コジ・ファン・トゥッテ》 指揮:佐藤正浩 演出:岩田達宗
2016年4月9日(土)5:30PM 名古屋市東文化小劇場

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 コンセルヴァトーリオ名古屋二期会
 マスタークラス終了オペラ公演
 《コジ・ファン・トゥッテ》
 2016年4月9日(土)5:30PM
 名古屋市東文化小劇場

 指揮:佐藤正浩 演出:岩田達宗

 フィオルディリージ:中嶋真利子
 ドラベッラ:石原まりあ
 デスピーナ:田中喜子
 フェランド:永井秀司(賛助)
 グリエルモ:能勢健司(賛助)
 ドン・アルフォンソ:初鹿野剛(賛助)

 管弦楽:名古屋二期会管弦楽団
 チェンバロ:服部容子
 合唱:コンセルヴァトーリオ名古屋二期会合唱団

 コンセルヴァトーリオ名古屋二期会は、名古屋二期会結成時の昭和45年から始まった研修生制度を、平成25年に発展的に起ち上げた組織だそうです。

 指揮の佐藤正浩さんと演出の岩田達宗さんという日本でもトップクラスのコンビが若い歌手の指導に当たっていることに興味を持って、名古屋市東文化小劇場に行ってきました。

 名古屋市東文化小劇場はナゴヤドームの隣りにあり、ドーム球場では中日×巨人戦が開催されていました。

 この劇場では2006年3月18日に、名古屋二期会第36期研研修生終了オペラ公演《コジ・ファン・トゥッテ》を見たことがあります。

 名古屋市東文化小劇場は座席349席の小劇場。
 8割の入りでしょうか。

 佐藤正浩さん指揮する名古屋二期会管弦楽団は、コンサートマスターが福本泰之さんなので、愛知県立芸術大学関係者のアンサンブルらしい。
 弦楽器各1台、オーボエ1台、クラリネット1台。
 チェンバロの服部容子さんはコレペティトゥーア兼任。
 ピアノの重左 恵里(じゅうさ えり)さんはいつも名前の読み方が分からないので、ここにメモしておきます。
 オーボエとクラリネットの音色が魅力的でした。

 舞台にあるのは上手、下手、奥に出入り口のポールと椅子と机くらい。
 背景や照明も無いシンプルな装置で、それだけ演じる方々は大変だったと思います。
 
 岩田達宗さんの演出は、全くモーツァルトのストリーそのまま。
 新規なアイディアや読み替えなどはありませんが、必要にして十分なその舞台が、何と感動的だったことでしょう。
 モーツァルトの作品自体が最高ですからね。

※モーツァルトが《コジ・ファン・トゥッテ》を作曲した家はこちらです。

 キャストの皆さまはオペラ中の人物として動いており、何も無い舞台に隙間風が吹くことはありませんでした。
 どうしたらこのような演出が出来るのか、いつも不思議に思います。

 フィオルディリージの中嶋真利子さんは素晴らしかった。
 ほとんど出突っ張りで、第一幕と第二幕に長大で難度の高いアリアがあり、大変な役だと思い知りましたが、最後のアンサンブルまで十分に声が出ていました。
 キャストのプロフィールが書かれていなかったので、ネット検索してみたところ、2008年に愛知県立芸術大学を卒業しておられるようです。
 ちょっと追っ掛けをしてみましょうか。

 ドラベッラの石原まりあさんは長身で、ちょっとうつむき加減。
 そのため、この役に必要な可愛い軽薄さがありませんでした。
 むしろフィオルディリージのタイプですかね。

 デスピーナの田中喜子さんは舞台を自由に動き回り、多くの拍手を受けておられました。
 もともとデスピーナは得な役ですが、ピッタリかと思いました。
 姉妹に求愛する二人のアルバニア人を後ろから押すのもデスピーナで、彼女が4人の若者たちを自由に操っているコンセプトかと思いました。

 男性陣ではやはりドン・アルフォンソの初鹿野剛さんのベテランの味。
 彼無しでは物語が進みませんからね。

 盛大なカーテンコールが終わって地下鉄に乗ると、混雑していました。
 ナゴヤドームの中日×巨人戦が延長戦の末、引き分けたのだそうです。
 びわ湖ホールのこけら落としの帰りのJRで、オペラファンと競艇ファンで大混雑したことを思い出しました。