ひろしまオペラルネッサンス 《修道女アンジェリカ》 《ジャンニ・スキッキ》
2016年11月27日(日)2:00PM
  JMSアステールプラザ

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 久しぶりに≪修道女アンジェリカ≫の公演があったので、広島まで行ってきました。
 ひろしまオペラルネッサンスでは、2005年10月1日(土)・2日(日)の2日、《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》を岩田達宗さんの演出で見たことがあります。
 11年前ですか。

 ひろしまオペラルネッサンス JMSアステールプラザ
 《修道女アンジェリカ》 《ジャンニ・スキッキ》
 2016年11月27日(日)2:00PM

 指揮:佐藤正浩
 演出:粟國淳
 管弦楽:広島交響楽団

 ≪修道女アンジェリカ≫
 アンジェリカ:尾崎比佐子
 公爵夫人:井上美和
 女子修道院長:平福知夏
 修道女長:浦池佑佳
 修練長 平福知夏
 修道女ジェノヴィエッファ:小林良子
 修道女オスミーナ:山持真美
 修道女ドルチーナ:藤永麻未
 医務係の修道女:山持真美
 托鉢係の修道女A:野中理絵
 托鉢係の修道女B:川崎摂子
 修練女:山下裕子
 助修女A:山中優美
 助修女B:藤田昌代

 佐藤正浩さんの指揮は遅めのテンポを取り、流れや盛り上がりに乏しいような気がしました。
 粟國淳さんの演出は抽象的なものでしたが、大きな壁を動かし、舞台を見る楽しみもありました。
 修道女達のレベルは今ひとつで、前半は楽しむことが出来ませんでした。

 アンジェリカの尾崎比佐子さんは2016年6月26日の関西二期会の方が良かったでしょうか。
 公爵夫人の井上美和さんは大きな役で聴くのは初めてですが(小さな役は拝見しているようです)、写真は若そうなのに老け役で、響きのある低い音の迫力に圧倒されました。

 公爵夫人は泣き伏すアンジェリカのそばに座り、彼女を抱きしめようとしますが、家系の名誉のためにそれをすることが出来ません。
 公爵夫人がこれほどアンジェリカに近づいた、というか跪いた演出は初めて見ました。
 公爵夫人のアンジェリカに対する憐憫の情がよく出た演出かと思いました。

 最後に子供は現れず、アンジェリカに当たったスポットライトが消えていき、暗闇の中曲は終わりました。
 しかし、客席から拍手はありません。
 よほど拍手しようかと思いましたが、よそ者が差し出がましいかということで、暗闇を楽しんできました。

 ≪ジャンニ・スキッキ≫
 ジャンニ・スキッキ:前田進一郎
 ラウレッタ:内藤里美
 ズィータ:佐々木有紀
 リヌッチョ:福島成
 ゲラルド:下岡輝永
 ネッラ:乗松恵美
 ゲラルディーノ:重本ゆうき
 ベット:安東省二
 シモーネ:松中哲平
 マルコ:山本徹也
 ラ・チェスカ:大賀真理子
 スピネッロッチョ/アマンティオ:柴山昌宣
 ピネッリーノ:服部好浩
 グッチョ:久保田一憲

 ≪修道女アンジェリカ≫はちょっと残念でしたが、≪ジャンニ・スキッキ≫は、舞台上の人物が生き生きと動き、一幅の西洋画を見るような素晴らしい舞台でした。
 2005年10月1日のひろしまオペラルネッサンス岩田達宗《ジャンニ・スキッキ》もコミカルな舞台で大爆笑したものですが、この団体には《ジャンニ・スキッキ》のDNAが受け継がれているのでしょうか?

 残念なのはいつものようにラウレッタのアリアがリサイタルになっていたこと。
 ラウレッタがお願いする相手はスキッキであって、会場のお客さんでは無いでしょう。
 この間オペラが止まってしまうのが嫌です。

 僕のデフォルトは2001年10月28日に見た、ジュゼッペ・タッディです
 ラウレッタのお願いに、驚いたり頷いたり抱きしめたり、ラウレッタが可愛くて仕方が無い。
 モデナ歌劇場のDVDで、アマリッリ・ニッツァはスキッキのズボンにしがみついて、お願いしていました。

 「音楽の友」で、バルバラ・フリットリが「ラウレッタのような少し歌っただけで主役のような扱いを受けるような役は好きではありません」と語っているのを読んだことがあります。
 スカラ座のDVDに見るバルバラ・フリットリのアンジェリカは、ルカ・ロンコーニのおかしな演出にもかかわらず、アンジェリカそのもので、ちょっとした仕草、表情の変化が本当に素晴らしい。
 CDなら、NAXOSのイロナ・トコディですね。