名古屋二期会《カルメン》
指揮:佐藤正浩 演出:岩田達宗  カルメン:岩田千里
2023年10月15日(日)2:00PM 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
 
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 名古屋二期会《カルメン》

 2023年10月15日(日)2:00PM
 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

 指揮:佐藤正浩
 演出:岩田達宗

 カルメン:岩田千里
 ドン・ホセ:永井秀司(賛助)
 ミカエラ:古澤加奈子
 エスカミーリョ:近野賢一(賛助・代演)
 ズニガ:水谷和樹
 モラレス:高柳耕平(賛助・代役)
 ダンカイロ:能勢健司(賛助)
 フラスキータ:伊藤舞子
 メルセデス:梅澤市樹
 レメンダード:山本治樹

 管弦楽/名古屋二期会オペラ管弦楽団
 合唱/名古屋二期会合唱団
 児童合唱/東海児童合唱団
 舞踊/加藤おりはスペイン舞踊団

 補助金削減のため公演中止を考えている、という新聞記事でこの公演を知りました。
 コンサートで配られるチラシも見なかったし、この公演があるということを知らなかったオペラファンもいるのではないでしょうか。
 名古屋のオペラを代表する二期会なら、もう少し広報を考えないと。
 この《カルメン》は昨日も上演されましたが、名フィルとバッティングしていたんですね。
 キャスト表を見ると、昨日の方が知っている方が多かったですね。

 指揮の佐藤正浩さんは昨年まで「名古屋テアトロ管弦楽団」で聴かせていただきましたが、新国立劇場「オペラ研修所」の所長に就任されました。
 前奏曲が始まって、そのキビキビとした演奏に、期待が高まります。

 岩田達宗さんの演出は2003年9月7日に堺シティーオペラのプッチーニ《三部作》で見て以来大好きです。
 本日の大道具は大きい2つのスロープが交差した抽象的なもの。
 舞台の端から端まで全体の空間に(何メートルあるのだろう)ビニールテープが交差して張られています。
 小道具は椅子が2つかな。
 ホセなど兵隊の服装は『戦場のメリークリスマス』の坂本龍一さんみたいでした。

 カルメンの岩田千里さんは、初めての主役ではないかな。
 名古屋音楽大学、大学院修了。
 まだ慣れないのか動きが少ないとは感じましたが(アグネス・バルツァなんか見ているからね)、巨大空間の中で声は出ていたと思います。

 ホセの永井秀司さんは東京芸術大学卒業、名古屋芸術大学非常勤講師。
 今までは脇役での出演が多かったと思いますが、感じが出たホセでした。

 ミカエラの古澤加奈子さんは初めて聴く方ですが、明和高校を経て東京芸術大学卒業、サンタチェチーリア音楽院修了。
 少し線が細かったですが、そこがミカエラらしかったでしょうか。

 エスカミーリョの近野賢一さんは賛助出演。
 京都市立芸術大学大学院修了。
 フライブルク音楽大学、ミュンヘン音楽大学大学院修了。
 立派な歌唱でした。

 フォレストホール(大ホール)全体を使った岩田さんのスケールの大きい演出が素晴らしい。
 全幕同じ何もない舞台装置ですが、アンサンブルやコーラスなど人物の動きと照明で見事に物語が進行します。
 僕は《カルメン》は苦手なんですが、名古屋二期会が予想を遙かに超える、世界の何処に出しても恥ずかしくない舞台を見せてくれたことを嬉しく思いました。

 昨日から名フィルの演奏会はカーテンコールでの写真撮影が可能になりました。
 しかし本日の名古屋二期会は「カーテンコールの撮影も堅くお断りします」との放送あり。
 今回の舞台こそ写真を撮って、全国の皆さまにご覧いただきたかったですね。