藤原歌劇団公演《ファウスト》
 2024年2月3日(土)2:00PM 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

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 藤原歌劇団公演《ファウスト》
 2024年2月3日(土)2:00PM
 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

 指揮:阿部加奈子
 演出:ダヴィデ・ガラッティーニ・ライモンディ

 ファウスト:澤崎一了
 メフィストフェレス:アレッシオ・カッチャマーニ
 マルグリート:砂川涼子
 ヴァランタン:岡昭宏
 ジベール:向野由美子
 ヴァグネル:大槻聡之介
 マルト:山川真奈

 NNIバレエ・アンサンブル
 ファウスト:浅田良和
 マルグリート:山口緋奈子

 藤原歌劇団合唱部
 セントラル愛知交響楽団
 オルガン:浅野菜生子

 チケットを買ったときのファウスト役は笛田博昭さん。
 笛田さんが一身上の理由で村上敏明さんに交代となり、その村上さんが体調不良のため澤崎一了さんが急遽登板となりました。

 例年、藤原歌劇団の名古屋公演は愛知県芸術劇場大ホール(2500席)で行われるのですが、エレベーター工事のため休館中。
 そこで名古屋市民会館となるのですが、これがビレッジホール。
 ビレッジホールは客席1149席の中ホールです。
 昨年10月の名古屋二期会公演《カルメン》は客席2296席のフォレストホールで行われましたので(しかも2日)、藤原歌劇団ちょっと弱気です。
 それでも空席はありましたね。
 やはり演目に馴染みが無かったのでしょう。

 折江忠道総監督のプレトークがあり、補助金が4割削減されるそうで,これは大変なことです。

 一応METの公演で予習したのですが、ゲーテの原作とオペラの脚本にかなり問題があるようです。
 マルグリートなんか宝石に目がくらんだ愚かな女としか見えません。
 ゲーテが《ファウスト》を書いたというフランクフルトのゲーテハウスはこちら

 本日の公演でまず気になったのは衣装。
 ファウストがホルバインのヘンリー8世の肖像画のようで、マルグリートも庶民の娘だと思うけれど立派な宮廷衣装。
 視覚的には《アンア・ボレーナ》、チューダー朝の世界でした。

 舞台装置は大きな3枚のパネルに画像が投影されるものでしたが、余り意味があるものとは思えませんでした。
 音楽の邪魔にならかったのは、最近の演出では良かったでしょうか。

 キャストではメフィストフェレス役のアレッシオ・カッチャマーニが素晴らしかった。
 その豊かな声が客席にビンビン飛んできます。
 1987年ローマ生まれだそうですが、大柄で髪が無くて、見た目も演技もメフィストフェレスにぴったり。
 笛田博昭さんと聴きたかったですね。
 他のキャストも頑張っていましたが、中でもヴァランタン役の岡昭宏さんは立派な歌唱かと思いました。

 阿部加奈子さんの指揮は素晴らしかった。
 東京芸大作曲科、パリ音楽院を経てオランダ在住。
 フランス・ドーム交響楽団の音楽監督で、エクサン・プロヴァンス音楽祭、コヴェントガーデン王立歌劇場でも指揮をしているとのこと。

 「《ファウスト》の舞踊音楽」は音楽を聴き始めた頃から知っていましたが、実際の舞台で見ることが出来たのは嬉しかった。
 チューダー朝時代を思わせる舞台の中で、バレエはモダンダンス風なのが可笑しかった。

 合唱団はおよそ50人でしょうか。
 交通費、宿泊費を考えて、補助金削減の中、頭がクラクラしました。
 合唱団の動かし方は上手だと思いました。
 
 休憩2回を合わせて上演時間は4時間。
 無駄な場面も多いと感じましたが、最後はコーラス、オルガンを合わせて盛り上がりまして、貴重な体験をさせて頂いたと感謝しております。