ウィーンミュージカル 《エリザベート》 (1) ◇ プロローグ/あなたみたいに |
◇プロローグ 死者と夢想家の夜の世界 幕が上がると、真っ暗な舞台の前の方、右上から左下にかけてヤスリをモチーフにした巨大な跳ね橋が架かっている。 そしてそのスロープの左下(下手)の方に、首を吊られたルケーニの人形が掛かっている。 そこにルケーニが下手から現れ、『しかし、どうしてルケーニ?』というスタジオ録音CDで聴き馴染んだ裁判官の声が響く。 このルイジ・ルケーニ(エリーザベト刺殺の犯人)がナレーターとして、ある時は登場人物として、舞台を進めていく。 CD通りに舞台は進み、『ではエリーザベトのお話を始めましょう』というところで、奈落からゾンビの世界がせり上がる。 ![]() 途中で『注目! あそこにトート陛下が!』とルケーニが指さすと、例のスロープの右上からトートが現れる(CDと違う)。 そしてトートは『最後のダンス』のメロディーで歌うが、歌詞は‥‥そりゃあ理解できないわね(^_^;。 そして、またゾンビの合唱に戻り、ルケーニは吊るされている人形の縄を切って抱きかかえ、下手に走り去る。 客席からの歓声がすごい。 ◇シーン1 ポッセンホーフェン宮殿の広間 ポッセンホーフェン宮殿はシュタルンベルク湖に面した、エリザベートが少女時代を過ごした館。 この館からはルートヴィヒ2世が幽閉されたベルク城を、湖の対岸に眺むことが出来た。
『あなたみたいに』 さて、時は1853年6月。 舞台はポッセンホーフェン宮殿のはずだが、この曲はエリザベートの横顔を切り抜いた幕の前で歌われる。 15才のエリザベートは、旅をしたりツィターを弾いたり自由に生きている父親マキシミリアン(マックス)公爵が大好き。 自分もそんな父親のようになりたい、と歌う。 『人生は短すぎる。それは退屈しているちょっとの暇も無いほどだ』というマックス公爵のセリフは、全く僕のモットーと同じだ (^_^) 。 最後の『アデュー・シシ!』というマックス公爵の別れの言葉は、第二幕への見事な布石となっているので覚えておくように。 ◇シーン2 シュタルンベルグ湖畔 『皆様にお会いできて嬉しゅうございます』 舞台後ろにはマイバウム(5月祭の柱)が立っている。 やがて親戚が集まり、母親ルドヴィカは、エリザベートの姉ヘレーネがオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフと婚約するだろうと、誇らしく発表する。 舞台裏には空中ブランコをするエリザベートの姿が見える。 そして突然、背景を突き破って、ブランコに乗ったエリザベートが飛び出してくる。 そして彼女は舞台裏に墜落する。 そして舞台裏から、トートが気絶したエリザベートを抱いて現れ、下手のベッドに寝かせる。 この時から、トートはエリザベートを愛するようになる。 ベッドの周りには人形が並べられ、エリーザベトの幼児性を象徴している。 |