横浜シティオペラ 《修道女アンジェリカ》 《ジャンニ・スキッキ》 2005年10月30日(日)2:00PM |
昨年(04年)11月に名古屋二期会の公演を見て以来、《修道女アンジェリカ》がすっかり気に入ってしまいました。 指揮:中田直宏 演出:中村敬一 エレクトーン伴奏 (^_^; 最近はCDを聴くことも面倒なんですが、この曲だけはテバルディのCDを買って、毎日繰り返し聴いていました。 レナータ・スコットのCDはよろしくありませんでした。 本年6月には関西歌劇団の公演(指揮:牧村邦彦 演出:井原広樹)、10月は『ひろしまオペラルネッサンス』(指揮:山下一史 演出:岩田達宗)を観劇に遠征しました。 そして今回は横浜シティオペラです。 神奈川県民ホールは《ニーベルングの指環》 第一チクルスに通った懐かしい劇場です。
![]() 《修道女アンジェリカ》 《ジャンニ・スキッキ》 2005年10月30日(日)2:00PM 神奈川県民ホール 指 揮:桶本英一 演 出:恵川智美 管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団 アンジェリカ:桑田葉子 公爵夫人:永田直美 ジャンニ・スキッキ:小島聖史 ラウレッタ:松岡万希 指揮者も演出家も初めて見る方ですが、恵川さんは新国立劇場の《ザザ》を演出されたそうです。 アンジェリカの桑田さんは、申し訳ないが声も容姿も期待はずれ。 この役は関西歌劇団の吉岡仁美さんが良かったですね。 公爵夫人の永田直美さんも、この役にしては声の重みというか迫力が足りない。 びわ湖ホールで見たエボリ公女が良かっただけに意外でした。 若すぎるんでしょうか? ではこの公演が良くなかったかというと‥‥もう泣けて泣けて。 オペラは総合芸術だと、つくづく思いましたよ (^_^ゞ。 何よりもプッチーニの音楽が美しすぎるんですが、オーケストラと舞台をがっちりと掌握して、ゆっくりとクライマックスに持っていく桶本さんの指揮ぶりは、大家の芸かと感心しました。 舞台装置は鉄骨に教会らしい壁を貼り付けて、中央に聖母子が書かれた大きな扉があるだけの簡素なもの。 恵川さんの演出は大変気に入ったんですが、演出の巧拙は人の動かし方と照明のプランですかね? どうして僕にとって、恵川さんが素晴らしくて広島の岩田さんが気に入らないのか、自分でも不思議で、その謎を突き詰めたいと思っています。 例えばですね、アリア「母もなく」のあとで修道女達のコーラスがあります。 岩田さんは修道女たちがドヤドヤと現れて、歌って去っていったんですが、何のために出てきたんだ?という感じ。 恵川さんは暗闇の中にキャンドルを持った修道女達が並び、幻想的な場面を作り出していました。 恵川さんも岩田さんも、子供の死を知り泣き伏すアンジェリカに公爵夫人が手をかけようとして留まる演技プランがありましたが、わざとらしくて嫌いです。 数歩近づくくらいでよいのでは? 最後は予想通り中央の扉が開いて、子供が現れます。 関西歌劇団の井原演出ではここで大天使ミカエルが現れ、クルクルとバレエを踊ったのでした。 あのときは邪魔だと思ったけれど、今となっては懐かしい想い出ですね (^_^) 。 一方の《ジャンニ・スキッキ》は想定範囲内の演出で、破天荒な広島の岩田演出の方が笑えました。 しかし、小島さんのスキッキはとても良かった。 僕にとって最高のスキッキは、2001年に名古屋のコンサートで見たジュゼッペ・タッデイなんです。 「私のお父様」を歌うラウレッタのおねだりに、可愛くてたまらないと一つ一つ反応するタッデイ。 小島さんの役作りはその路線に近いもので、スキッキはこうでなくては、と再認識しました。 ということで、「高い外来オペラではなくても感動できる公演はあちこちにあるんだ」と大満足して帰ってきました。 とはいっても、交通費が高いのが悩みの種ですけどね (^_^ゞ。 |