教育TV 《蝶々夫人》 ハイライト
 2006年11月12日(日)10:20PM

「REVIEW06」に戻る  ホームページへ  《蝶々夫人》観劇記録
 
 
 教育テレビで放送された、東京二期会の 《蝶々夫人》 ハイライトを見ました。

      指揮:ロベルト・リッツィ・ブリニョーリ 演出:栗山昌良
        蝶々さん:木下美穂子    スズキ:永井和子
      ピンカートン:福井 敬  シャープレス:直野 資(なおのたすく)
         ゴロー:加茂下 稔

 06年7月15日,17日の公演だそうですが、7月15日〜23日は同じ栗山昌良さんの演出で同じ《蝶々夫人》が兵庫県立芸術文化センターで上演され、同じ演出家が東京と関西と、同時に演出するとはどういうことか不思議に思っていました。

 テレビで見たところ、舞台装置は同じですね。
 ただ兵庫のように回り舞台ではなかった。
 ここが大事なところで、不必要に回る舞台はとっても不愉快でした。
 それに、東京は最後に狩野芳崖の「悲母観音」 (^_^; も出てこなかったし。

 今回のテレビ放映で、蝶々さんの木下さんも良かったが、僕が感心したのはスズキの永井さん。
 もちろん、永井さんのスズキ役は定評があるところですが‥‥。

 僕がスズキ役の重要性を知ったのは、05年堺シティオペラの《蝶々夫人》で田中友輝子さんのスズキを見てから。
 それ以来、田中さんが僕の理想のスズキになっていました。

 ちなみに、今年の堺シティオペラは《蝶々夫人》の凱旋公演でしたが、びわ湖ホールの《海賊》とバッティングして行くことが出来ず、無念でした。

 兵庫芸術文化センター公演のプログラムにも「スズキの存在によって、作中のドラマが幾層にも膨らんでいく」と書かれておりまして、その通りだと思ったものですが、小山由美さんにも坂本朱さんにも満足できませんでした。

 そのときのレポートに、「三年間蝶々さんと苦楽を共にした同志のような感情が出ると、もっと良くなるのではないか」と書いたのですが、永井さんのスズキにはそれがありました。

 中でも感服したのが第三幕の最後の部分。
 蝶々さんに「お前も一緒に遊びにお行き」と言われたスズキは蝶々さんの自害を察知し、「私はおそばにいます」と答えるのですが、「行きなさい!これは命令です」と言われ、涙ながらに去っていく、というのが普通の演技プランでしょうか。

 ところが、永井さんのスズキが取った行動は違います。
 彼女は子供を連れに走るんです。
 確かに「蝶々さんを死なせてはならない。それには子供に会わせることだ」という発想はもっともなことであり、これでこそ子供が都合良く飛び出してくるのも納得できるわけです。

 ロベルト・リッツィ・ブリニョーリの指揮は、2月の《ラ・ボエーム》でもそうでしたが、セカセカした余裕のない音楽かと思いました。
 
 
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