名古屋二期会定期オペラ公演《真夏の夜の夢》
2009年9月6日(日)2:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

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 1992年11月30日、名古屋二期会は愛知芸術劇場の開館記念公演として《ピーター・グライムズ》を上演し、大きな賞賛を浴びました。
 外山雄三さんと栗山昌義さんのリーダーシップのもと、1994年9月には《ねじの回転》(主演:飯田みち代)、1995年9月には《ルクリーシア》を上演しましたが、翌年の《ビリー・バッド》を予告して、このブリテン・シリーズは崩壊してしまいました。

 その理由は良く分かります。
 名古屋二期会が活動を再開したのは1998年でした。

 僕は1995年6月にロンドン旅行をしました。
 僕の旅行は行けるときに行くしかなくて、観劇の演目を選ぶ余裕などありません。
 その年は丁度「ブリテン没後50周年」で、その時に時に見たのが、《ビリー・バッド》《真夏の夜の夢》という名前も知らないようなブリテンのオペラでした。

 名古屋二期会と「ブリテン没後50周年」のおかげで、僕はブリテンのオペラをかなり見ることが出来まして、その後は日本あちこちに遠征し、2005年9月10日 豊田市コンサートホールの《カーリュウ・リヴァー》をもって、ブリテンの見ることが出来そうなオペラは全曲制覇いたしました (^_^) 。

 さて、そのロンドンで見た《真夏の夜の夢》は演出家ロバート・カーセンの出世作で、僕はこの時からロバート・カーセンの追っかけをするようになります。
 そして本日が人生2回目の《真夏の夜の夢》体験となります。

 今日は横浜の首都オペラでフロトー作曲《マルタ》、堺シティオペラでマスネー作曲《サンドリヨン》と心惹かれる演目がバッティングして、誠に残念です。
 会場のロビーに名古屋のオペラファンの姿がありませんでしたが、彼らはNHKホールまでミラノ・スカラ座《アイーダ》を見に行っているのでしょう。
 僕の場合、スカラ座はチケット代が高いので、目がワープしてしまいます (^_^ゞ。

 ついでにもう一つ。
 4階の愛知芸術劇場コンサートホールでは、4時からモーツァルト200合唱団の『悔悟するダヴィデ』(指揮:三澤洋史、独唱:飯田みち代,高橋淳)なるコンサートがあり、体がいくつあっても足りません (^_^ゞ。


  名古屋二期会定期オペラ公演《真夏の夜の夢》
    2009年9月6日(日)2:00PM
    愛知県芸術劇場大ホール

  指揮:阪 哲朗  演出:中村敬一

 オベロン:谷田育代  タイタニア:森本ふみ子
 パック:岡田真千代
 スィーシアス:石川保  ヒポリタ:鶴岡圭子
 ライサンダー:与儀巧  ハーミア:奥野靖子
 デメトリアス:塚本伸彦  ヘレナ:加川文子
 ボトム:水谷和樹    クインス:時宗 務
 フルート:松岡重親   スナッグ:堀内紀長
 スナウト:山本治樹   スターヴリング:吉田裕貴
 蜘蛛の巣:林弘子    豆の花:杉山梨恵
 辛子の種:真野一枝  蛾:北野実果

 合唱: 師勝少年少女合唱団
    (選抜メンバー8人)
 管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団


 中村敬一さんの演出は二重構造の回り舞台を使って、頻繁な舞台転換によく対応していたし、アテネ郊外の深い森の雰囲気もよく出ていました。
 しかし、ロンドンのロバート・カーセン演出で、字幕もないのにゲラゲラ笑った僕としては、もう少しやり方があったのではないかと、静かな客席で思っていました。
 《真夏の夜の夢》は喜劇でしょう?
 カーセンさえ見ていなければ、この演出で十分満足したのでしょうが‥‥。

 前岡直子さんの衣装は疑問でした。
 妖精の王オベロンがスカートをはいているんです (@o@)。
 オベロンはカウンターテナーの役ですが、女性が歌うのは致し方ないでしょう。
 それでも彼は男性でしょう?
 女性がスカートをはいて演じていては、どうしてもオベロンが男性には見えません。

 シェークスピアが活躍したエリザベス朝時代の服装だそうですが、タイタニアと並ぶと、エリザベス(タイタニア)とメリー・スチュアート(オベロン)、といった感じ。
 オベロンが出てくるたびに、夜の女王を思い出してしまいました。

 キャストは、難しいであろうブリテンの音楽に果敢に挑戦し、それぞれに成果を上げていたと思います。

 一番感心したのが「名古屋二期会オペラ管弦楽団」なる寄せ集めオーケストラ。
 とても上手なんです。

 このオーケストラをまとめ上げた指揮者、阪 哲朗さんは、なかなかの実力者かと思いました。
 阪さんは09/10年のシーズンからレーゲンスブルク歌劇場の音楽総監督に就任されるそうです。

 そうそう、今回の席はなぜだか3階(普通の劇場では2階)を取っていて、3階からはオケピットが見えることを発見しました (@o@)。
 「この劇場はオケピットが見えない欠陥劇場」と書き続けてきたのは、いつもチケットの安い5階席、4階席で見ているからなんですね (^_^ゞ。
 でも、3階席でも前の人の頭や転落防止の手すりが邪魔になって、指揮者は見にくかったですね。
 
 
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