びわ湖ホールプロデュースオペラ プッチーニ作曲 《ラ・ボエーム》
2010年3月14日(日) 2:00PM

「REVIEW10」に戻る  ホームページへ
  
 
     びわ湖ホールプロデュースオペラ
    プッチーニ作曲 歌劇《ラ・ボエーム》
     2010年3月14日(日) 2:00PM

     指揮:沼尻 竜典
     演出:アンドレアス・ホモキ
     ミミ:浜田 理恵
     ロドルフォ:志田 雄啓(しだたけひろ)
     ムゼッタ:中嶋 彰子
     マルチェッロ:迎 肇聡(むかいただとし)
     ショナール:井原 秀人
     コッリーネ:片桐 直樹

     合 唱 :びわ湖ホール声楽アンサンブル、
           二期会合唱団
     児童合唱:大津児童合唱団
     管弦楽 :京都市交響楽団

 ホモキの演出はベルリン・コーミッシェ・オーパーのプロダクション。
 第一幕から第四幕までが休憩なし(上演時間:1時間50分)で上演されました。
 
 コーミッシェ・オーパーのビデオを見られた音楽専門家の方から「ホモキにしては見やすい」と言われていたのですが、僕は気に入りませんでした。
 財政難を反映してか質素な装置で、その代わりパリの屋根裏部屋である第一幕にも第四幕にも後ろに人がウロウロしている。
 この人たちの動きがいかにもぎこちなく、なぜ自分たちがそこにいるのか分かっていない感じ。
 余分なものが多く、全体として舞台が汚ない感じ。

 何より不愉快なのはお得意の「読み替え」。
 第4幕ではボヘミアンたちはお金持ちの有名人になっているようですが、こんなのはプッチーニの《ラ・ボエーム》ではないでしょう。
 プッチーニが心血を注いだオペラを弄ぶ輩を認めるわけには行きません。

 プログラムには「読み替え」の話が満載ですが、そんな演出家の独りよがりに付き合うほど、僕は寛容ではありません。
 ホモキも新国立劇場の《西部の娘》などは気に入ったんだけれども、もうお別れだな。

 さしあたり二度と見ないと誓っているのが、コンヴィチュニー、クレーマー、マルターラー、ホモキ、ファルク・リヒター、宮本亜門、粟國淳‥‥まだまだいるな (^_^; 。

 第一幕冒頭でロドルフォが歌い始めたところで僕はズッコケました。
 声が聞こえない (@o@)。
 「この人が本当に主役なの?」という驚き。
 プロフィールを見ると、東京芸大卒業、日本音楽コンクール第1位、五島記念文化賞新人賞受賞という輝くばかりのキャリアの持ち主なので、今日はよほど体調が悪かったのでしょう。

 浜田さんのミミは一度聴いてみたいものだと思っておりました。
 しかし、演出とロドルフォに邪魔されて、集中することが出来ませんでした。
 もう少しまともな演出で聴かせていただきたかったですね。
 またチャンスはあるのでしょうか?

 ムゼッタの中嶋彰子さんは良かった。
 やっとオペラ歌手が出てきてくれた、という安堵感。
 やはり声量の問題なのかな?

 マルチェッロ役の迎 肇聡さんは、稽古中に脚部を負傷した堀内康雄さんのカヴァーキャスト。
 この人はびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーで、予想以上に良かったですね。
 なにより、堀内さんにない若さがあります。
 初めて見る人だと思っていたら、《イメネーオ》《トロメーオ》《森は生きている》など、色々な舞台を拝見しておりました (^_^ゞ。

 しかし、稽古中に脚部を負傷してしまうとは、危険な演出、舞台装置なのでしょうね。

 指揮者の沼尻さんは名フィル時代から高く評価しているのですが、今日は少し急ぎ気味かと感じました。

 そして、びわ湖ホール芸術監督としての沼尻さんには、演出家の決定に不満がある。
 彼が選ぶのは(僕にとって)おかしな演出をする人ばかり。
 10月には《トリスタンとイゾルデ》が予定されていますが、今日のような舞台を5時間(?)も耐えることは、僕には出来そうもありません。
 
 
「REVIEW10」に戻る  ホームページへ