ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場 《こうもり》
2010年6月5日(土)5:00PM 愛知県芸術劇場大ホール

「REVIEW10」に戻る  ホームページへ
  
 
 僕はウィーンでは2004年1月1日にフォルクスオパー、そして1月2日にシュターツオパーで《こうもり》を見たことがあり、フォルクスオパーのインパクトがある舞台が圧倒的に気に入りました。

 しかし、そのフォルクスオパーの《こうもり》も、ルネ・コロ、ヨッヘン・コワルスキー、ハインツ・ツェドニクなどの有名どころを揃えた2008年5月25日の来日公演はあまりに因襲的な舞台で感心しませんでした。

 2008年8月15日にウィーン・シェーンブルン宮殿劇場で見た《こうもり》は、なによりもヘルベルト・モックの指揮が素晴らしかったのですが、ウィーンらしからぬモダンな演出も気に入りまして、今回の来日公演を楽しみにしておりました。

   ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場《こうもり》
     2010年6月5日(土)5:00PM
       愛知県芸術劇場大ホール

   指揮:ロベルト・ツェルツァー
   演出:フォルカー・フォーゲル

   アイゼンシュタイン男爵:ペーター・エーデルマン
   ロザリンデ:エリザベート・フレッヒル
   アルフレード:ヴァレリー・ゼルキン
   オルロフスキー公爵:ヨッヘン・コヴァルスキー
   アデーレ:ハイディ・ヴォルフ
   ファルケ博士:アルフレード・ベルク
   フランク:ホルゲ・ナザララ=ファビエ
   イーダ:ウルスラ・サメイト
   ブリント博士:ダヴィッド・アメルン
   フロッシュ:フランツ・スーラーダ

 期待の公演でしたが、ウィーン現地の観劇からシェーンブルン宮殿、ロココ風の劇場などの要素を除いてしまうと、ウィーンらしいようなそうでもないような、中途半端な舞台になってしまいました。

 今回の公演のセールスポイントはヨッヘン・コワルスキーのオルロフスキー公爵でしょう。
 しかし、彼の声は声量に乏しく、全盛期に較べ衰えを感じました。

 そして、第二幕の『シャンパンの歌』の途中で、コワルスキーの声が無くなりました (@o@)。
 そして、彼は舞台からも消えてしまいました (@o@)。
 やがて舞台に戻った彼のそばには腕を組んだ女性が立っておりまして、以後のオルロフスキー公爵はすべてこの女性が歌いました (@o@)。

 オルロフスキー公爵はトリプルキャストになっておりまして、この女性はその一人イヴォナ・サゴヴィッツさん。
 たまたまコーラスの一員として舞台に出ていたんですね。
 声はこの人の方が良く出ていました。

 第三幕もこの二人はカップルで現れましたが、コワルスキーは最後の歌を自分で歌いまして、意地を見せました。
 カーテンコールでも二人は手を組んで現れまして、暖かい拍手を浴びていました。

 一回の公演で二人のオルロフスキー公爵を聴くことが出来るとは、儲けものだったでしょうか (^_^) 。
 珍しくハラハラする観劇をすることが出来まして、舞台は生ものですね。
 
 
「REVIEW10」に戻る  ホームページへ