関西歌劇団 《イル・トロヴァトーレ》
2011年11月13日(日)2:00PM 尼崎アルカイックホール

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 2007年10月6日に《道化師》のトニオを聴いてひっくり返るほど驚いて以来、田中勉さんは日本一のバリトンだと確信しています。
 2009年10月25日の《ジャンニ・スキッキ》のリヌッチョで感心した清原邦仁さんの力強い歌声を、また聴いてみたいものだと思っていました。

   関西歌劇団《イル・トロヴァトーレ》
   2011年11月13日(日)2:00PM
   尼崎アルカイックホール
 
   指揮:牧村邦彦 演出:井原広樹
   装置:アントニオ・マストロマッティ

   ルーナ伯爵:田中 勉
   レオノーラ:樽谷昌子
   アズチェーナ:田中友輝子
   マンリーコ:清原邦仁
   フェルランド:片桐直樹
   イネズ:大﨑友美
   ルイーズ:岩崎慎也
   老ジプシー:和田一人
   使者:蜂須賀一晃

 管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 合唱:関西歌劇団合唱部・大阪メンズコーラス

 今回の《イル・トロヴァトーレ》は素晴らしい出来栄えの公演となりました。
 これほどのハイレベルの公演に巡り会うことは少なく、また何かの賞を受賞されるのではないでしょうか。

 まず、ヴェルディの音楽が素晴らしい。
 おかしなストーリーばかりのヴェルディのオペラですが、中でも《イル・トロヴァトーレ》の荒唐無稽さは群を抜いているでしょう。
 僕もかつては、アズチェーナが「間違って自分の子供を焼き殺してしまった」と泣き伏す場面など、「そんな馬鹿な」と笑い無しに見ることは出来ませんでした (^_^ゞ。

 しかしヴェルディのオペラをあれこれ見ているうちに、僕も慣れてきたと申しましょうか、その場面ごとの音楽と感情の高まりを楽しめばよいという境地に達しました。
 そうすると《イル・トロヴァトーレ》は次々と聴き応えのあるメロディーが出てくる、ヴェルディ中期の名作に間違いなく、あっという間に終演まで引っ張られてしまいました。

 アントニオ・マストロマッティの少し暗めの舞台装置が雰囲気を出しています。
 どこかのオペラハウスから借りてきたのでしょうか、抽象的ながら本格的なものでした。

 照明を上手く使った井原広樹さんの、ストーリーを進めていく上で過不足のない演出にも感心しました。
 牧村邦彦さん指揮するザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団はレベルが高く、出番が多い合唱も張りがあって素晴らしかった。

 キャストではやはり田中勉さんと清原邦仁さんの男性二人でしょうか。
 彼らの声はオーケストラを突き破って聞こえて来ます。

 中でも男声合唱と共に歌われたマンリーコのアリア「見よ、恐ろしい炎を」には心底興奮しました。
 清原邦仁さん凄い!
 笛田博昭さんがイタリアに行ってしまったので、これからは清原邦仁さんを追っかけてみましょうか。
 
 女性二人も出番が多く、それぞれに魅力的な役作りを見せていただきました。

 そもそもこのオペラは誰が主人公なのでしょうか?
 題名のトロヴァトーレならマンリーコだけれど、彼の出番がそれほど多いわけではありません。

 ということでカーテンコールを楽しみにしていたら、最後に登場したのはレオノーラ役の樽谷昌子さんでした。
 聴かせどころの多い役柄でしたからね。

 関西のオペラ公演はハイレベルでオーストドックスで、僕は大好きです (^_^) 。
 
 
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