関西歌劇団第91回定期公演 プッチーニ《三部作》 2009年10月25日(日)2:00PM 尼崎アルカイックホール |
03年9月7日に堺シティオペラで見て以来の《三部作》です。 僕は2004年11月に中村敬一さんが演出した名古屋二期会の《修道女アンジェリカ》を見て以来このオペラが好きで好きで。 その中村敬一さんの《三部作》ということならどうしても行かなくては。 関西歌劇団にとっても多くのキャストを必要とする果敢な挑戦で、その気持ちが嬉しいではありませんか。 ![]() 関西歌劇団第91回定期公演 プッチーニ《三部作》 2009年10月25日(日)2:00PM 尼崎アルカイックホール 指揮:牧村邦彦 演出:中村敬一 管弦楽:大阪センチュリー交響楽団 《外套》 ミケーレ:井上敏典 ジョルジェッタ:樽谷昌子 ルイージ:安川忠之 《外套》というオペラは名作だと、改めて感じ入りました。 《三部作》のCDは持っているんですが、《修道女アンジェリカ》ばかり聴いて、《外套》は聴いていなかった。 BGMには血なまぐさい感じがしてね。 伝馬船の中年船長ミケーレは若い妻ジョルジェッタに裏切られ、浮気相手のルイージを絞め殺し、外套に隠した死体に妻を押しつける。 セーヌ川のたゆたう流れを表したオープニングから最後の殺人まで、プッチーニの音楽には無駄な部分がありません。 ストーリーも主役3人の気持ちがそれぞれ納得できるもので、3人に同情してしまい、プッチーニの美しいメロディとも相まって、すごく泣けました。 キャストも脇役まで含め、大変レベルが高かった。 しかし、ミケーレは50歳ですか。 まだ若いではありませんか (^_^ゞ。 浪速のマエストロ牧村邦彦さん指揮するオーケストラも素晴らしかった。 中村敬一さんの舞台は簡素ながら、船室に降りていく階段が作られた本格的なもの。 照明の使い方が実に見事です。 休憩時間に中村さんがロビーに居られたのでこの感動をお伝えし、お話をしていたら、また涙が出てきました。 最高のオペラの舞台を見ることが出来まして、ひたすら感謝です。 《修道女アンジェリカ》 アンジェリカ:湯浅 契(ちぎり) 公爵夫人:荒田祐子 ジェノヴィエッファ:内田千景 プログラムには不親切にもキャストの名前の読み方が書いてありませんので、ロビーで関係者に確認いたしました。 アンジェリカの湯浅 契さんはプログラムの写真より少しお歳に見えました。 理事ですからね (^_^; 。 でも、オペラグラスを使わなければ問題なし。 『母もなく』以後はドラマチックなメロディーが続き、負担の多い役柄なのだろうなと思いました。 公爵夫人の荒田祐子さんは常務理事ですから、年齢的にも役柄にぴったりの方かと思いました (^_^) 。 アンジェリカに子供のことを尋ねられたときに、一瞬哀れみの表情を浮かべ、たじろぐ演技に泣けました。 《外套》では僕の隣の席(2階後方)が空いていました。 《修道女アンジェリカ》から女性客が座られまして、この人の雰囲気が何となく怪しい。 思い切って「関係者ですか?」と聞いてみましたら、昨日の公爵夫人の西村規子さんでした (@o@)。 思わず公爵夫人の役作りについて質問してしまったんですが、「家系と神に対する義務感とアンジェリカに対する同情の間で揺れ動く」と言っておられました。 これは演出家の指示だそうです。 中村さんの演出のコンセプトは名古屋二期会の舞台と同じかと思いましたが、応接室への移動など、実に巧みな処理だと感心しました。 なにはともあれ、僕はこの作品には泣けて泣けて (^_^; 。 修道女達は凸凹があったんですが、昔羊飼いだったというジェノヴィエッファを歌った内田千景さん(だと思う)が印象に残りました。 《ジャンニ・スキッキ》 ジャンニ・スキッキ:田中由也 ラウレッタ:日下部祐子 リヌッチョ:清原邦仁 《ジャンニ・スキッキ》は2005年10月に広島で見た岩田達宗さんの舞台が面白すぎた。 どうしたらあのようなハチャメチャな舞台を作り出すことが出来るのでしょう? 本日の中村演出はもっと大人しかった。 ジャンニ・スキッキ役の田中由也さんはすらっとして、2001年10月に見たジュゼッペ・タッデイがデフォルトの僕にはイメージが違いすぎました。 リヌッチョ役の清原邦仁さんは素晴らしいテノールでした。 久しぶりにビビッと来ました。 笛田博昭さんはミラノへ行ってしまったので、今度は清原さんを追っかけてみようかな。 僕は《ジャンニ・スキッキ》にリヌッチョのアリアがあることを、今日まで気が付きませんでした。 清原邦仁さんでなければ、聞き逃されるような音楽でしょう。 このアリアが終わった後の拍手は盛大なものでした。 こんな所の拍手なんて経験がありません。 |