名古屋二期会2014年ニューイヤーオペラコンサート
2014年1月12日 (水)3:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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 名古屋二期会2014年ニューイヤーオペラコンサート
 2014年1月12日 (水)3:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指 揮:佐藤正浩
 管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団

第Ⅰ部
 1)山口満希子 ”私はティターニャ” トマ「ミニョン」より
 2)宇野啓子  ”愛の神よ!私を助けに来ておくれ”
        サン=サーンス「サムソンとデリラ」より
 3)林浩子   “私は生きたいの” グノー「ロメオとジュリエット」より
 4)久保田道子&宇野啓子 ”ホフマンの舟唄”
        オッフェンバック「ホフマン物語」より
 5)水谷映美  ”あの日から” シャルパンティエ「ルイーズ」より
 6)前場郁子  ”ママも知る通り” マスカーニ「カヴァレリア・ルステイカーナ」より
 7)小坂井直美 ”歌に生き愛に生き” プッチーニ「トスカ」より
 8)野瀬洋子  ”楽しい日々はどこへ” モーツァルト「フィガロの結婚」より
 9)水谷和樹  ”女に見とれてやってきた若者は” モーツアルト「後宮からの誘拐」より
10)長屋弘子&林剛一 ”日曜日ごとに教会で” ヴェルディ「リゴレット」より
11)渡部純   ”神よ、平和を与えたまえ” ヴェルディ「運命の力」より
12)森本ふみ子 ”勝ちて帰れ” ヴェルディ「アイーダ」より

第Ⅱ部 ビゼー「カルメン」ハイライト
13)”前奏曲”
14)河村典子 ”ハバネラ”
15)竹内葉子&樋口達哉 ”母の便りを”
16)河村典子 ”セギデイーリヤ”
17)林剛一 ”闘牛士の歌”
18)樋口達哉 ”花の歌”
19)”間奏曲”
20)天野久美 ”不安にさせるものなど何もない”
21)河村典子&樋口達哉 ”フィナーレ”

 まず、指揮者の佐藤昌弘さんが素晴らしかった。
 自分のサイトを検索してみると、今までに2008年5月10日《ランスへの旅》2011年12月10日 《こうもり》2012年2月29日《修道女アンジェーリカ》 & 《ジャンニ・スキッキ》などを聴いているようですが、今回ほどの強い印象は持ちませんでした。

 佐藤さんは東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。
 ジュリアード音楽院ピアノ伴奏科からサンフランシスコ・オペラの専属ピアニストを経て、1995年、指揮者ケント・ナガノの招きでフランス・リヨン国立歌劇場の首席コレペティトールに就任。
 愛知県立芸術大学講師、慶応義塾ワグネル・ソサィティー常任指揮者。
 オーケストラをよくドライブして、歌手に寄り添い、素晴らしいオペラ指揮者だと思いました。

 歌う方は、指揮者の横に立ったまま歌います。
 オペラらしく動かれたのは《リゴレット》の林剛一さんくらい。
 上半身だけでも演技になっていたのは、小坂井直美さん、渡部純さん、森本ふみ子さんでしょうか。

 渡部純さんの《蝶々夫人》を聴いてその素晴らしさに仰天したのは2010年のこのコンサートでした。
 最近は期待外れの舞台が多く残念に思っていましたが、今日はその持てる力を十分に発揮していただいたと思います。
 ただ、最後の音はもっと伸ばしていただきたかったですね。
 ギリギリのところまで頑張るその姿勢に観客は興奮するのですから。

 第Ⅱ部は《カルメン》ハイライト。
 ホセ役に予定されていた小山陽二郞さんが体調不良のため、樋口達哉さんがホセを歌われました。
 この樋口さんが素晴らしかった。
 後半に掛けてどんどん盛り上がりました。

 カルメン役の河村典子さんは、2013年11月24日に聴いたあらかわバイロイト《トリスタンとイゾルデ》ブランゲーネの印象が強く、カルメンにしては妖艶さが足りないか?とも思いましたが、頑張っておられました。

 ホセとミカエラの二重唱は大好きで、特に「母親のテーマ」。
 竹内葉子さんが歌っておられる間、ずっとシビれていました。
 
 エスカミーリョの林剛一さんは登場すると、出てきた入口に向かって「付いて来い!」と手を振りました。
 誰も出てこなかったんですが、その演技で酒場の群衆が見えるんです。
 さすがのベテランだと思いましたよ。
 
 演技、歌唱は舞台装置も無いオーケストラの前で行われましたが、衣装はコンサート用のドレス。
 特に深夜の山中のミカエラは違和感がありました。

 最後の二重唱はオペラそのものを見るような白熱したものでしたが、せめてナイフくらいは出してほしかったですね。