びわ湖ホール プロデユースオペラ
〈ニーベルングの指環〉第2日 《ジークフリート》
2019年3月3日(日)2:00PM びわこホール 大ホール

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 びわ湖ホール プロデユースオペラ
 〈ニーベルングの指環〉第2日
 《ジークフリート》

 2019年3月3日(日)2:00PM
 びわこホール 大ホール

 指揮:沼尻竜典
 演出:ミヒャエル・ハンペ
 美術:ヘンング・ヴォン・ギールケ

 ジークフリート:クリスティアン・フォイクト
 ミーメ:高橋 淳
 さすらい人:ユルゲン・リン
 アルベリヒ:大山大輔
 ファフナー:斉木健詞
 エルダ:八木寿子
 ブリュンヒルデ:ステファニー・ミュター
 森の小鳥:吉川日奈子

 管弦楽:京都市交響楽団
 コンサートマスター:ハルトムート・シル
 ホルン独奏:福川伸陽

 《ジークフリート》が音楽的魅力に乏しい曲だということは、昨年9月の愛知祝祭管弦楽団の公演(演奏会形式)で、教えて頂きました。
 沼尻さんのテンポは遅く、盛り上がりの無い《ワルキューレ》第一幕には「どうすればこんなにたるんだ演奏が出来るのか」驚いてしまいました。

 となると、僕の興味はハンペさんの演出になります。
 《さまよえるオランダ人》で幽霊船を沈めたり、《ラインの黄金》で虹の橋を架けた頃のハンペさんはワーグナーの意図を現実化することが目的となっていたような気がします。
 しかし昨年の《ワルキューレ》では最新の舞台機構を駆使し、ワーグナーの意図以上のスケールの大きい舞台を作っていただいたと思います。

 今回の《ジークフリート》でもハンペさんの演出は全くストーリー通りで、スケールが大きく、絵画のように美しい舞台。
 熊(小嶋卓也)も出てくれば、巨大な大蛇(ファフナー)がゴジラのように暴れ回り、小鳥がジークフリートを導きます。
 このような演出をしていただけば、作品の音楽的弱さを感じる暇もありません。
 わざわざバイロイトに行って、スキャンダル目的の演出を見る必要は全くないと思います。

 キャストでは、さすらい人とブリュンヒルデの声に迫力があったでしょうか。
 主役のジークフリートは線が細く、役にあっていない感じ。
 ノートウングを鍛え、ミーメを殺し、大蛇を退治し、さすらい人とを打ち負かし、疲れ果ててやって来た岩山で、準備万端で待ち構えていたブリュンヒルデとの二重唱は気の毒かと思いました。

 沼尻さんの指揮にも《ワルキューレ》のような不満を感じることが無く、N響の福川伸陽さんをホルン独奏に招いた京都交響楽団も好演だったと思います。

 僕の席は2階最後列でしたが、通路を挟んだ隣の席はスタッフ用で、3幕終了後にハンペさん、ギールケさんがカーテンコールのために飛び出していきました。